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2010-11-23 00:00
(連載)オバマ大統領訪印で米印戦略提携関係はさらに強化(2)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
インドと中国の地政学的な競合に関して、パーコビッチ氏は「アメリカがそれを利用しないようにすべきだ」と主張する。インドの安全保障にとって、アフガニスタン・パキスタンの混乱、パキスタンの核の脅威、 イスラム・テロと比べれば、中国はそれほど差し迫った課題ではない、ということである。歴史的には、外からのインドへの脅威は、ヒマラヤ山脈ではなく、カイバル峠を越えてやって来た。パーコビッチ氏が述べるように「インドに中国への抑えとして過大な期待を抱かない方が良い」のであろう。
ニューデリーでの首脳会談に臨んだオバマ大統領とマンモハン・シン首相は、広い範囲の事項で重要な合意に至った。上院議員時代には最も左翼の議員であったオバマ大統領は、ブッシュ政権による二国間協定に批判的であった。しかし、大統領になったオバマ氏は、インドでのアメリカ企業の市場開拓と投資の拡大に積極的なっている。安全保障では、アフガニスタン・パキスタン情勢、海賊、大量破壊兵器不拡散、テロリストの掃討、そして二国間の国防協力が議題にのぼった。両首脳は、エバーグリーン革命やインターネット・セキュリティといった新しい課題についても意見を交わした。前者はオバマ政権らしい論点である。これはオバマ氏が掲げながら任期前半には充分な進展が見られなかった「グリーン・ニューディール」の一環のように思われる。
インド側からすれば、先のアメリカとの共同声明は多国間の輸出規制体制への参加に弾みをつけるものである。ニューデリーの国防問題分析研究所のサムエル・ラジブ準研究員は「11月8日の米印共同声明によって、インドの原子力供給国グループ加入への道が開け、最終的にはインドがNPTに加盟し、ドイツや日本と共に国連常任理事国にもなれる」と述べている。オバマ大統領はインドとの原子力事業を推し進めながら、アメリカ主導の核不拡散体勢にインドを組み入れるという、前政権の方針を追求している。
インドとの戦略的提携関係は、アメリカにとって、党派を超えた国益である。他方、インドにとっては、この提携関係は、グローバルな戦略的かけひきで自国の立場を有利にできるものである。ブッシュ政権が結んだ二国間協定は賛否両論を呼んだが、こうした「アンフェタミン」がなければ、現政権がインドとのパートナーシップを発展させることはできなかったであろう。インドは中間選挙後にオバマ氏が最初に訪問した国である。今回のインド訪問は、ロバート・ケーガン氏が述べたように「アメリカ外交を任期前半2年の謝罪姿勢から本来の姿に戻すための第一歩になる」のだろうか?(おわり)
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