ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2010-11-19 00:00
(連載)中国、ヘリ搭載監視船を初めて派遣(2)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
また、野党も海保のビデオ流出を好機到来と見て、菅政権の機密管理の杜撰さをつく戦術に出たが、このことは却って尖閣沖衝突事件の本質、すなわち東シナ海に対する中国の戦略的意図を適切に認識するという、喫緊の課題から目をそらさせる結果となっている可能性がある。もとより、機密管理体制の構築は我が国の安全保障上の最重要課題の一つに違いないが、ビデオ流出事件と関連付けて論じるのは適切ではない。そもそも、流出したビデオ映像は、国家機密ではないからこそ全面公開を求めてきたのではなかったのか。
我が国がとるべき対抗策は、まず、海保による領海警備と海自のそれへの後方支援の強化である。そのためには、ハード面では、海保のリソースの充実が必須だが、ソフト面では士気向上が重要である。しかし、民主党政権は海保の士気を著しく挫くような愚かなことをした。すなわち、逮捕した中国人船長の政治的配慮による処分保留釈放、海保によるビデオの全面公開拒否、そしてビデオ流出事件に際する海保への責任押し付けである。民主党政権は、これらの誤りを全面的に認めて、海保の「名誉回復」を図るべきである。
自助努力の次に来るのは、日米同盟である。実は、事務レベルでは日米間で重要な方針がまとめられている。10月に行なわれた佐々江外務事務次官とスタインバーグ米国務副長官の会談では、日本が海自と海保の連携を強化すること(これは自助努力であると同時に日米同盟の文脈でも重要である)と、日米で離島防衛の共同訓練を実施することが確認された。
これらの基本方針が迅速に実行に移されなければ、中国の行動への対抗にならない。せっかくのクリントン国務長官やゲーツ国防長官の尖閣への日米安保条約適用明言も意味の薄いものになってしまう。菅首相は、日中首脳会談実現で舞い上がっている場合ではない。必要なことは、中国の海洋進出圧力を正しく認識し、日米の間にある基本方針を行動として示すことである。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム