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2010-11-11 00:00
(連載)分裂する米議会は、政治の成果を出せるか (3)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
ホワイト・ハウスは、このような歪曲した情報を訂正し、解釈した公的ウェッブ資料を提供しているが、反対する前に研究する国民は少ないようである。メディ・ケアも、民主党が長年死守してきた公的医療保険であるにも関わらず、「私のメディ・ケアに手をだすな」と「オバマの医療保険改正法」に反対した人たちが多かったのは、皮肉な話だ。「オバマの医療保険改正法」撤廃に強気の姿勢をみせているのは、来年1月から米下院議長に就任することが予測されているジョン・ベイナーである。彼は長い間、共和党の選挙資金集めの先導者として、大企業のロビー活動家と幅広い付き合いがあり、その方面において米政界で影響力多大な人物として知られている。
9月11日の『ニューヨーク・タイムス』紙は「彼は、ゴールドマン・サックス、グーゴォー、シティグループ、R.J.レノウズ、ミラー・クアーズ、ユナイテッド・パーサル・サービスなど、米国大企業のロビー活動家や元側近幹部等と密接な関係を維持している」と報じた。このような「密接な関係」について、同紙は「米下院議長に就任するための政治資金集めも含め、高額の選挙資金の受理、企業専用ジェット機での送迎、贅沢なリゾート地でのゴルフ接待、ウォーター・フロントでのパーティ参加」などを挙げている。来年1月に職務交代をひかえた民主党下院議長のナンシー・ペロシは「特定の政治問題に関心を持つロビー活動家に頻繁に合い、企業規則や消費者保護などの合法化阻止を援助をしている」とベイナーを批判している。
政治資金集めは合法的であることは、ご承知の通りである。ベイナーほど影響力はないが、民主党議員も当然ロビー活動家から情報を収集したり、選挙資金の寄付金は受けている。今年1月「Citizens United v. Federal Election Commission」事件の判決で最高裁は、「米国憲法改正第一条の言論の自由原理に基き、米政府は選挙資金の献金限度額を定めることは出来ない」との判決を下した。もちろん、特定の候補者への選挙資金や政治活動委員会などへの献金額は公表するよう、以前から規定されている。しかし、このような判決が金権政治に拍車をかけ、両党間の分裂と堕落を促進する一因になり得ることに危惧を抱くのは、筆者だけではないはずである。
結論として、共和党が支持する撤廃案に対し、オバマ氏は当然大統領拒否権を駆使するはずであるが、この拒否権を覆すためには、上院100議席中67票、下院435議席中290票が必要になる。共和党は上下両院ともに、この2/3の多数議席を保持していない為、オバマ政権中は共和党の思惑どおりにはいかないだろう。「共和党は最初から妥協する余地はない」ことを暗示したミッチ・マッカーノの防御的的姿勢には、このような苛立ちがあったとも言える。両党はアメリカ社会の総体的な改善に向けて真摯に妥協点を模索しあうことができるのか、それとも利権をめぐって議会で益々激しい分裂が続くのか、注目される。(おわり)
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