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2010-10-25 00:00
(連載)米中間選挙そして中東現代史(2)
石川 純一
フリージャーナリスト
上述の「フセイン・マクマホン書簡」「サイクス・ピコ協定」は、ことパレスチナというオスマン・トルコ帝国領に関する限り、アラブと仏に少なくとも発言権を認めようというものだ。英国が本当に狙っていた同地域の英単独支配とは反する。だから、英国の息が一番掛かっていたシオニスト団体にユダヤ国家を建設させ、アラブと仏の思惑を打ち砕いてしまおうというわけだ。2000年ぶりの祖国再建の希望に最も喜んだのは、英国に代わって世界帝国にのし上がろうとしていた米国在住のユダヤ人たちである。
結果的に、アラブの反乱を起こしながら英国に裏切られたフセインは、失意のうちにこの世を去り、実現したのは英仏によるオスマン・トルコ帝国領再分割だけだった。ユダヤ国家建設も実現しなかった。が、世界各地のユダヤ人たちは、「バルフォア宣言」に触発されて、続々とパレスチナへ移住し、荒れ果てた土地を次々と開墾していった。彼らが、ユダヤ国家再建を実現するのは、ナチス・ドイツのホロコーストを経た第2次世界大戦後の1948年である。
こうして20世紀の中東現代史は、大英帝国の3枚舌外交の残した負の遺産の精算に追われた。21世紀の今も、この作業は「パレスチナ問題」の形をとって、未解決のまま残されている。そして、新たに登場したのが、イスラム原理主義である。アメリカン・グローバリズムが世界標準として標榜される中で、それに対する「異議ありグループ」の代表者がイスラム原理主義だ。これまでは、東西冷戦という煙幕によって、宗教の抱える問題は先送りされてきた。が、人類は今、いよいよこの難問解決に本格的に取り組まなければならない事態に直面しつつある。
国境線を越えて深まりゆく混沌の中で、既にイデオロギーは終焉を迎えた。唯一残された「ボーダーレス」「インターナショナル」なものは、宗教以外にない。が、いかにしてこれを可能なさしめるのか。人類の殺戮の歴史は、主義よりも宗教・信仰の違いによるものの方が、圧倒的に長いのである。11月2日に投票日を迎える米中間選挙もまた、このような中東現代史の一環として語られることになるであろう。(おわり)
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