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2010-10-16 00:00
(連載)ヨーロッパで広がる反移民感情の波(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
近年、少数民族や移民の文化的伝統に否定的に反応する反移民感情が、世界中に広がっている。特にその傾向が顕著なのはヨーロッパである。西欧諸国では近年移民の数が圧倒的に増えていたが、それでも人種差別や移民流入阻止の動きは「非現実的」であり、「無益」であるとの視点は国際的に共有されていた。しかしながら、近年フランス、イタリア、ドイツ、イギリスなどの主要先進国を含む多数のヨーロッパ諸国で、反移民問題が選挙の争点になってきている。
通貨危機や世界的経済不況で少数民族や移民がスケープゴートにされやすいのは、アメリカも同じような傾向にある。しかし、欧州では「白人以外の移民はほしくない」などの意志が公然と表明されるようになり、習慣や文化の違いによる人種差別や人種偏見が目立つようになってきている。特に9・11事件の後、自国の安全性が過度に強調されるあまり、少数民族や移民に対する敵対意識が正当化されやすく、辛らつなケースでは人権問題の論争を招いている。
フランスでは、盛んな反ジプシー運動が展開している。10月12日付けの『ワシントン・ポスト』紙は、東欧から西欧に移住してき1000人以上のジプシー移民がここ数ヶ月の間に国外追放されたことに、国際的批判があびせられていることを報じている。欧州連合(EU)の市民であるジプシーの追放政策を打ち出したフランスでは、「帰化してから10年に満たない外国人で、政府役人又は警察当局に対して暴力犯罪を犯した者は、その帰化を取り消す」との法案が議会に提出されている。また、フランスの新法は「イスラム教徒の女性が公的な場所で顔全体を覆い隠すベールを使用することを禁止する」方針である。オランダやスペインも同じ法の制定を検討しているが、現在のところ係争中である。
反ジプシー移民運動は、イタリアでも顕著である。ジプシー移民の犯罪が増えていることを理由に、ミラノ市当局はジプシーの移民家族が住む貧民地区の小屋を次々にブルトーザーで取り壊しているらしい。「ジプシー移民は、ヨーロッパ人とは違って肌が黒い」と、皮膚の色の違いを強調しているのは、この取り壊しを担当するミラノ市の副市長で、「最終的な目標は、ミラノにジプシー移民の駐留地をゼロにすることである」と述べている。(つづく)
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