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2010-10-13 00:00
小沢が“フェードアウト”する理由
杉浦 正章
政治評論家
小沢一郎の国会招致をめぐって、民主党内の賛否が割れているが、議論が高まるほど首相・菅直人と幹事長・岡田克也にとってはプラスの作用だろう。当面国会招致を“人質”として小沢封じができているからだ。検察審査会の起訴決定以来の政治状況は、中長期的には小沢の求心力低下、支持グループの溶解につながってゆく気配が濃厚だ。検察審の議決で小沢が側近らをまえに涙を流したことをとらえて、最高顧問・渡部恒三がテレビで「小沢君とは44年間付き合ったが、自分のことで涙を流したことのない男が泣いた。政治家は人様のことで泣くのはいいが、自分のことで泣いたら終わりだ」と述べている。確かに古今東西を問わず、政治家の涙は“失格”と受け取られやすい。米国でも古くは1972年の大統領選民主党予備選でエドマンド・マスキーが、夫人を中傷されて涙を見せて、敗北した。「男は泣いたら終わり」と言われたものだが、政治家は女であっても同様。ヒラリー・クリントンも予備選で涙を見せて、敗北感を漂わせてしまった。
その「泣きの小沢」について米政治学者のジェラルド・カーティスも「政治家としての生命が終わった感じだ」と分析している。それでは、ロングレンジで見た場合、小沢の求心力はどうなるかだが、映像が徐々に小さくなる“フェードアウト”の傾向をたどるものとみられる。今後の展開は、臨時国会では少なくとも政治倫理審査会での呼び出しは行われるだろう。民主党が決められなければ、野党は参院において出席議員の過半数の多数で出席を強制できる。菅も、岡田も、結局政倫審には応じるしかあるまい。小沢は、偽証罪を伴う証人喚問を避ける必要があり、党内で目立った行動は取りにくい。年内には弁護士による正式起訴が行われ、来年夏までには公判が開かれる。公判となれば、一審は必ず本人が出席しなければならず、事実上裁判闘争にかかりっきりとなる。要するに、泥に足を取られて、身動きがままならぬ状態となるのだ。
起訴されれば小沢は刑事被告人であり、政治活動は制約される。統一地方選挙や総選挙の応援もしにくいだろう。バブルのごとき小沢チルドレンも落選者続出となるだろう。かって田中角栄が闇将軍として逮捕・離党後も実力を発揮できたのは、中選挙区制が作った強固な派閥を背景にしていたからである。人望もあった。しかし小沢の場合、小選挙区は「政治とカネ」など不祥事の影響をもろに受ける傾向があり、力ずくで党内を押さえてきたが故に、真の人望もない。既に小沢グループ内は、前国対委員長・樽床伸二がグループを作り、前総務相・原口一博も微妙な動きを見せている。とても「田中軍団」の様相はない。
そもそもマスコミの作り上げた虚像が小沢問題の実態であり、小沢はそれを“活用”して代表選で200票を獲得したが、これが最初で最後の代表選だろう。もはや200票は溶解過程に入りつつあると見るのが正しいだろう。役職もないまま政権を操縦することなど、とてもできないということだ。また得意の政界再編の裏技も、刑事被告人とあっては、仕掛けられた政党がたじろぐ。再編には錦の御旗が不可欠だが、「政治とカネ」を錦の御旗にはできない。現在68歳。どうみてもフェードアウトが流れだろう。
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