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2010-10-06 00:00
(連載)グローバル時代のテロリズムを考える(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
10月3日から4日にかけて、アメリカ、イギリス、日本政府は、アルカイダのリーダー、オサマ・ビン・ラディンの関与が懸念されているフランス、イギリス、ドイツなどヨーロッパ各国の市内でのテロの可能性に関する警戒を呼びかけた。いつものように具体性に欠ける警告ではあるが、日本政府も、ヨーロッパに滞在している日本人又は旅行中の日本人に警戒を呼びかけた。9月28日、パリのエッフェル塔とその近辺で爆弾騒ぎがあった時、私は東京に一時帰国していた。9年目の記念日9月11日に自宅を後にした私は、空港での警戒態勢が如何に不愉快なものであるかを想像し、多少神経質になっていたが、予想に反してあっけないほど簡単だったことに、むしろ失望した。セキュリテイ・チエック・ポイントの係員は、私の顔を一瞥し、パスポートをチエックしただけで、最新のイメージ技術装置による検査やパット ダウンと呼ばれる身体に触れる検査も要求せず、いとも簡単に通過させてくれた。東京や成田空港にはテロ警戒に対する恐怖や緊張感などの雰囲気は全くなかった。
昨年12月25日に起きたノースウェスト航空の飛行機爆破未遂事件後、アメリカ政府は主な空港にはこのイメージ技術装置を設置した。グローバル化が増大する度合いに比例して、1990年代の中頃からアメリカで発生するテロの頻度は2倍になった。日本は「こんなに生温い体制で本当に安全なのか」と逆に不安になった。「日本はアメリカの同盟国であるため、日本も標的にされる可能性が高い」という意見も一時頻繁に聞かされたが、アメリカと日本の間の旅行の機会が多い私自身は、「オサマ・ ビン・ラディンは、アメリカに原爆を2回も落とされた日本に多少同情的であるはず」「アルカイダは少なくとも、日本の飛行機をターゲットにすることはないだろう」と信じることにしている。更に、アルカイダのテロ自爆行為は、9・11のような大規模破壊から小規模爆弾に変わってきていることも、事実だ。
ご承知の通り、アメリカの学者や専門家は総じてテロリズムの性質が歴史的に変わったことを指摘している。テロリズムの定義、特徴及び原因などについて多くの学者が様々な角度から推論や議論を提起しており、グローバル時代の政治的、経済的、宗教的及び文化的観点から述べた洞察は、いずれも興味深い。 本稿では、政治的要因のみに的を絞りたい。テロリズムの定義については、多くの学者が様々な見解を述べているが、定義することは難しいことを告白している。最も一般に解釈されている定義は、「一般市民を巻き添えにすることによって、恐怖感を煽り、暴力で政治的改革を要求する個人又はグループの破壊行為」である。
ジャーナリスト、大学教授、作家など多彩な経歴を持つパキスタン系アメリカ人のイクバル・アーマッドは「テロリズムは、5種類に分類できる」と言う。一つ目は「国によるテロ行為」、二つ目は「宗教又は神聖化されたテロ行為」、三つ目は単なる「犯罪的テロ行為」、四つ目は「精神病者によるテロ行為」、最後は「個人グループによるテロ行為」である。アーマッドによると、「国が後ろ盾になったテロ行為の回数は、個人のグループのテロ行為に比較すると、過小推定しても1000対1である」という。また、「国が後ろ盾となったテロ行為は、決してテロリズムとは呼ばれず、カァウンター・テロリズム、カァウンター・インサァージェンシィ及びロウ・インテンシティ・コンフリクトなどと呼ばれる」と述べている。LICは、一般に対テロ活動、平和維持活動、国際条約義務の履行、特殊訓練などを含め、軍隊力を利用したある種の敵対行為を意味する、という。これに賛同する知識人は少なくない。(つづく)
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