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2010-09-25 00:00
(連載)尖閣問題処理の3本の柱(2)
湯下 博之
元駐フィリピン大使
第三に、拘束中の中国人船長に関しては、重要な隣国であり戦略的互恵関係を目指す中国との関係全般に十分な配慮をして、中国政府の国内的立場をも考慮の上、事務的な処理ではなく、大局的な政治判断を加えた措置をとるべきである。そのようなことは、決して圧力に屈するということではなく、自国の長期的な利害得失の観点から自国の判断として行うことである。
「法に従って粛々と対応する」ということは、「法を曲げる訳には行かない」という意味であれば正しいが、法で認められる範囲内で出来ることは種々あり、幅もある。そのような範囲内で、どのような解決が望ましいかは、正に政治の問題であり、日本の安全や繁栄をも考慮して判断すべき問題である。その点を見誤らないで、妥当な措置が早急にとられることが大切である。
なお、中国人船長に関するそのような措置をとった上で、尖閣諸島が日本の領土であることについては、1970年頃まで中国も台湾も異を唱えていなかったという事実を対外的に広報したり、今回の事件のビデオを一般に公開するなどして、日本の主張の正しさを客観的事実として周知させることが適当と思われる。
また、前記の第一の点、即ち尖閣諸島への人間の常駐の早急な開始と上記の第三の点は、セットのようにして実施するのがよいと思われる。(おわり)
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