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2010-09-24 00:00
(連載)コーラン焼き討ちで尖鋭化するオバマ・ディバイド(2)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
オバマ・ディバイドは外交政策でも強まっている。メディアの中にはオバマ氏のプラハ演説とカイロ演説をブッシュ氏のカウボーイ外交からの決別として歓迎する者もあるが、保守派の論客達は「アメリカが国際社会で果たしてきた指導的地位を謝罪するかのようだ」として両演説を批判している。APECシンガポール首脳会議で、オバマ氏は「アメリカは中国の台頭を歓迎する」とまで述べた。オバマ氏はイラクでの米軍戦闘任務終結演説で見られたように、自らのリベラル思想と大統領の職責をうまく整合させようとしているが、保守派と中道派が大統領の「非アメリカ性」に向ける疑念を宥めることは容易ではない。
コーラン焼き討ちによって、国民の間に深く根ざしている感情が表面化することになったが、焼き討ちの背後にある現実を理解するには、オバマ大統領のバックグラウンドを検証する必要がある。大統領が保守派にも受け入れられる選挙基盤から出ていれば、過激派キリスト教徒もコーラン焼き討ちを止めていたであろう。ハドソン研究所の日高義樹客員研究員は、自らの著書『不幸を選択したアメリカ』でオバマ氏と過激左翼の間の「暗黒の人脈」について記している。『ニューヨーカー』は表紙にオバマ夫妻がタリバンの衣装を着た有名な挿絵で物議を醸したが、それはアメリカ国民が心底でオバマ氏に抱く疑念をまざまざと見せつけた。
実際に、ブッシュ政権期にはコーラン焼き討ちのような野蛮な行為は起きなかった。私は、このような中世さながらの非文明的な暴虐を決して支持しない。アフガン戦争とイラク戦争の両方で対テロ作戦の重要な同盟国の指導者達の中でも、イギリスのトニー・ブレア元首相とNATOのアナス・フォー・ラスムッセン事務局長は、コーラン焼き討ちを非難した。ブレア政権のイギリスはアメリカ主導の対テロ戦争では最大の貢献をしている。ラスムッセン氏はデンマーク首相在任時にイラク戦争を積極的に支持した。さらに、現在アフガニスタンで戦争指揮に当たっているデービッド・ペトレイアス陸軍大将も焼き討ちを非難した。
しかし、特定宗教への狂信的な嫌悪感の背景を探るうえで、私はオバマ・ディバイドへの注目を訴えたい。AFL-CIOの調査によれば、オバマ氏はかつて最もリベラルな上院議員であった。「過激左派」のオバマ氏が“Right Nation” を統治できるのだろうか?中間選挙はオバマ・ディバイドに評価を下す重要な機会である。アメリカは誤った大統領を選んでしまったのだろうか?それがいま問われている最重要の問題なのだ。(おわり)
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