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2010-09-14 00:00
(連載)米国のアジア回帰を歓迎する (2)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
クリントン米国務長官は、続けて、アジア太平洋地域には紛争を解決したり有効に信頼醸成に寄与するような国際的機構が存在しないことを指摘するとともに、そのような地域的枠組みを構築することを謳っている。具体的には、東アジア・サミットをそのようなものとして位置付けるという。また、ジャカルタにASEAN大使館を設け、米・ASEANサミットを毎年開催したい意向も示した。
ここまで来ると、米国のアジア太平洋地域への深い関与を歓迎すると同時に、我が国が長い年月をかけて培ってきたASEAN諸国との絆を、米国にこれほどあっさりと凌駕されてしまったことを多少嘆くべきかもしれない。もちろん、そうなった原因は、最近の日本外交が根本的に間違っていたからである。ASEAN諸国は、中国に対峙するために日本を頼りにしていたが、日本の民主党政権は、よりによって中国を重視して、米国を排除する「東アジア共同体構想」などを持ち出してきた。他にも、インド洋での補給活動中止や普天間移設問題で、アジア太平洋の国際公共財である日米同盟を弱体化させるような行動ばかりとった。
クリントン講演で「韓日豪」と言われたことばかりに焦点を当てるような報道は、知的貧困と言っても過言でもないと思うが、日本の民主党政権の認識の鈍さも酷い。民主党代表選でも、菅、小沢両候補とも、相変わらず「東アジア共同体構想」などと言っている。東アジア共同体構想から米国を排除することはないという政府方針は既に正式決定されているが、一旦ついてしまったイメージというものは簡単に拭い去れるものではない。また、力点を置くべきは「東アジア」ではなくて「東南アジア」であろう。
しかし、「共同体」という発想を、クリントン講演で示されたアジア太平洋における紛争防止・信頼醸成に寄与する地域的安全保障機構の考え方とすり合わせることは十分可能であるし、そうすべきである。さらに、米国の構想を後押しすることで、ASEAN諸国をはじめとするアジア太平洋の国々にも感謝されようし、日米関係の改善にも大いに寄与することになる。普天間移設問題が動かない時だからこそ、この好機を断じて逃すべきではない。(おわり)
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