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2010-09-10 00:00
(連載)金正日の中国訪問と中朝関係(1)
茂田 宏
元在イスラエル大使
金正日は8月26日―8月30日、胡錦涛の招待で中国を非公式に訪問した。訪問期間中、8月27日、吉林省長春で中朝首脳会談が行われた。会談前後、金正日は吉林省と黒龍江省の故金正日の足跡の残る場所と企業などの経済関連施設をいくつも訪問した。金正日は5月にも訪中しており、3ヵ月後の2度目の訪中は異例である。
中国側は金正日を大歓迎し、双方は党および国のレベルで金日成が作り上げた伝統的な中朝友好関係を今後とも大事にしていくことを確認した。北朝鮮の発表では、胡が「伝統的な中朝友好関係は両党と両人民の貴重な宝であり、時代と共にこの友好を前進させ、世代を超えて伝えていくことが、双方の共通の歴史的責任であると述べた」とされている。北朝鮮は核実験に関連し国連安保理の制裁下にあるが、中国がそういうことを気にした形跡はない。金正日を友好国の指導者として支持することに徹したと思われる。
金正日は北朝鮮の権力の移行に向けた党代表者会議の準備状況を中国側に説明したと思われる。中国側の発表では「胡と金はお互いに国内情勢をブリーフした。胡は朝鮮労働党の全体会議が成功するようにとの希望を表明した」となっている。北朝鮮の発表でも「両党、両国の最高指導者はお互いに彼らの国での状況を知らせあい、両党、両国関係推進について同志的な雰囲気のなかで率直な意見交換を行った」となっている。金正日が党代表者会議で立ち上げようとしている新しい指導体制について、中国の了解を取り付けることが訪中の一つの目的であったと思われる。かつてソ連圏なるものがあったころ、東欧諸国の共産党指導部人事はモスクワのお墨付きを必要とした。そのために党間の「友好的会談」がよく行われた。今回の訪中はそれを思い出させるものであり、北朝鮮は中国の衛星国になった感がある。
経済政策については、中国側発表では「胡は北朝鮮人民が経済開発で達成した成果を称賛した」とある。北朝鮮が経済困難にあることは一目瞭然であるので、現実離れしたお世辞であるが、胡錦涛がそういうことまでいって、金正日支持を表明したということであろう。ただ胡錦涛は、経済政策としては改革開放を金正日に勧めたと思われる。(つづく)
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