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2010-08-23 00:00
(連載)中国のアフリカ進出と戦略資源としての食糧(1)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
中国は、原油やレアメタルなどの獲得を目指して、すさまじい勢いでアフリカに進出しているが、最近、新たに食糧を戦略的資源と位置付けて、アフリカ進出の目的に食糧の安定的確保を加えてきたようである。すなわち、中国国民への食糧の安定的供給を果たすため、アフリカの未開の農地に積極的に乗り出すということである。
中国による最近の対アフリカ農業支援は、例えば、農業技術教育センター設立、農地の借り上げ、農業分野への大規模投資などが挙げられる。8月11~12日には、中国共産党対外連絡部と農業省により、北京で「中国アフリカ農業協力フォーラム」が実施され、ケニア・エジプト・エチオピアなど18カ国の指導者や農業担当大臣らが参加し、農産品の貿易拡大や農園整備などで一致したと報じられている。
中国が世界的な食糧生産の不安定化に伴う食糧不足や、投機による穀物市場の乱高下による食糧の安定的確保への妨げに危機感を抱くことは理解できる。さらに、食糧を戦略的資源と位置付け、海外からの安定的供給を目指すという考え方自体も理に適っている。しかし、問題なのは、天然資源の獲得等の場合と同じく、アフリカへの進出が帝国主義的なやり方でなされている点である。また、目的達成のためには、人権抑圧の著しい独裁政権に対しても、内政不干渉を錦の御旗に大々的に援助を行なっている点も、我が国をはじめとする西側諸国の援助理念とは全く異質なものである。もっとも、中国自身が独裁国家であるから、人権抑圧を理由に援助しないとなれば、それはそれで理屈が通らないとも言える。
中国は、既にスーダンなどから合計約200万ヘクタールの農地を借り上げ、数年以内に中国人農民100万人がアフリカで農業に従事するのではないかという観測もある。これは、まさしく帝国主義そのものである。こんなことになれば、アフリカの貧しい農民は生活の手だてを失うことは確実である。また、アフリカの農民のうち余裕のある者は、貧しい自国人にではなく、中国人に農産物を売ることになるが、そうなると、貧富の格差が著しく拡大し、アフリカに蔓延する政治腐敗と相まって、社会的不安定が増大する。この傾向がさらに進めば、政権の転覆や内戦に繋がるおそれもある。(つづく)
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