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2010-08-02 00:00
(連載)オバマ外交で脆弱化する世界の安全保障(5)
河村 洋
親米・国際介入主義NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
ロシア・スパイ事件はオバマ外交を再考するための警鐘の一つである。この事件がG8およびG20サミット期間中に行なわれたオバマ・メドベージェフ会談で米露関係のリセット機運が高まる最中に起きたことは皮肉である。外交政策の専門家達は「米露の雪解けは再考される必要がある」との見解で一致している。
ロシアとの互恵的な関係構築が可能と信じるオバマ政権は、イラン核問題への対処での協調関係の強化をロシアに呼びかけている。しかしロシアは、イランの核保有に対して言葉のうえでの非難はしたものの、テヘラン神権体制への全面的な武器禁輸には同意しなかった。ロシアは、イランにS300地対空ミサイルを売却している。またオバマ氏の宥和路線によって東ヨーロッパと旧ソ連諸国がクレムリンの再拡張主義に脆弱な状態でさらされることになった。
外交政策全般について批判すべき点は多々あるものの、ロバート・ケーガン氏は、オバマ政権が挙げたいくつかの成果は高く評価している。すなわち、「イランに関してロシアと中国を相手に手緩い譲歩はしたものの、両国の取り込みによってトルコとブラジルが行なおうとした仲介の意義はなくなった。さらに、日本の鳩山由紀夫首相は、普天間基地問題をめぐってオバマ氏の強い圧力を受けて辞任し、新任の菅直人首相は、日米同盟が日本とアジア太平洋地域の安全保障の中核であると再確認した」と。
今回の5回にわたる投稿記事では、アメリカ外交に関する問題を広範囲にわたって述べてきた。最も重要な点は、オバマ大統領が合衆国大統領として行動するのだろうか、ということである。一方で、オバマ氏は生温い実利主義者ではあっても、全世界の左翼が称賛するような救世主ではない。他方で、オバマ氏はウィルソン・カーター的な理想主義者ではあるが、アメリカの力と理念に対して余りにも自己批判的である。来る中間選挙は、オバマ大統領が外交でも内政でも「アメリカ的なもの」を本当に信奉しているのか、を問いかける絶好の機会となるである。(おわり)
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