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2010-07-21 00:00
(連載)野党時代の発想を外交の現場に持ち込んだ鳩山政権(2)
若林 秀樹
元参議院議員
しかし、問題はもっと複雑で根深いのだ。確かに鳩山首相のリーダーシップに問題があったことは事実だが、そこには我が国が抱える本質的な問題が隠されている。その本質には目をつぶって、相変わらず首相の首をすげ替えれば問題は解決するかのような、メディア的発想から抜け出せずにいる。菅政権もとりあえず時間を稼いでいるだけで、このままでは恐らく同じ過ちを繰り返す可能性は強い。本質的な問題とは何か。それは何の為に犠牲を払ってでも普天間基地を辺野古沖に移設するのか、という根源的な問いであり、自民党を含めて歴代の政権はそれに対して明確に答えていないのである。政府がその答えを出さずして、沖縄県民が納得できるはずがない。
普天間基地の辺野古沖への移設に関し、信念を持ってその必要性を感じている政治家は、どれだけいるであろうか。菅政権としても、とりあえず日米関係は重要なので、鳩山政権の失敗を踏まえ、新たな日米合意に基づいて、仕方なく基地を沖縄県内に移設せざるを得ない、という発想から抜け出していないのである。今のままでは、これからも同じ問題が繰り返されることになろう。戦後、日本は日米安保の下で幸運にも目覚しい経済発展を遂げ、平和で安定した生活を65年間も謳歌してきた。その中で新たな犠牲を伴う安保議論は難しい。言い方を変えれば、大幅な財政黒字の中で将来の支出に備えて増税を提案するようなものだ。
しかし何故、平和が今日まで保たれてきたのか、これからの日本の安全を守るために我々は今、何をなすべきなのか、その原点に立ち返り、新たな痛みも排除せず緊迫感をもった本音の議論を展開しない限り、普天間基地問題のスッキリした解は見出せないだろう。つまり今、日本に問われているのは、タブーなき日本の外交・安全保障に関する真剣な議論であり、国際情勢のリアリティーにどれだけ近づけるかなのである。
世界では、金融危機の傷がいまだ癒えず、民族・宗教の対立による紛争やテロが多発し、深刻な貧困や人権問題等を抱え、以前よりその情勢は不安定化していると言えよう。その中で、政府はいかに日本を守り、世界の平和と繁栄に貢献できるのか、大きな課題を背負っている。今回もこれらの問題は参議院選挙の争点にはならなかったが、「本当の痛み」を感じる前に、ここは参院選後の与野党を超えた真摯な議論を期待したい。なぜならば政治家が本気にならない限り、すべての問題は解決しないからである。(おわり)
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