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2010-07-20 00:00
(連載)野党時代の発想を外交の現場に持ち込んだ鳩山政権(1)
若林 秀樹
元参議院議員
鳩山政権の対米政策の失敗を経て、民主党と自民党の外交政策における差異は、文言上の違いは若干残るとしても、実体としては殆どなくなったと言ってよい。現実に、民主党と自民党のマニフェストを比較しても、第1に記述してあるのは「日米同盟の強化」であり、全体として流れている考え方にも大きな違いはない。そのこと自体を積極的に評価する訳ではないが、もともと日本が外交の基本政策で現実的に選択しうる余地は殆どないと言っても過言ではない。相手のある外交政策には、政権が交代しても継続性が必要であり、とりあえず落ち着くところに落ち着いたと言えよう。
しかしながら、両政党の外交政策には、日本の成長戦略を組み込み、テロ、貧困や環境問題など包括的な観点から、日本の外交・安全保障を積極的に切り開いていくようなビジョンが感じられない。既に国際社会では、その一員としての日本の政治的存在感はほとんどなくなっている。日本の置かれている状況を考えれば、政府として普天間基地問題を解決し、日米関係がとりあえず良好になればいいという状況には全くないのである。
鳩山政権は、我が国の外交・安全保障の一番の基軸である日米関係でつまずき、外交が立ち行かなくなった。その失敗の原因は、「緊密で対等な日米関係」のとらえ方にあったのではないか。もともと主権国家である日米両国は対等なのであって、お互いに言うべきことを言うというのは当然である。しかし、日本が「両国は対等なのだから」という発想だけで対米協議に臨むなら、米国としても言い分は色々あり、良好な関係構築に向けた建設的な議論にはなりにくい。今次参院選の民主党マニフェストにある「緊密で対等な日米関係を構築するため、日米地位協定の改定を提起します」という表現にも、これまでの姿勢が如実に表れており、民主党政権に対する米国の懸念は完全に消えている訳ではない。
国としては「対等」であっても、日米の歴然とした力の差は存在するのであって、残念ながら日米は「平等」ではない。またそこには鳩山氏が抱くような高邁な理想が通じない政治の現実が立ちはだかる。
鳩山政権は、国際情勢を踏まえた日本の国益と自らの実力を深く考えず、野党時代の発想を外交の現場にそのまま持ち込んだと言われても仕方がない。何故ならば政治とは結果責任であり、鳩山政権はオバマ政権のみならず、日本の有権者、とりわけ沖縄県民の信頼までも失ったのである。(つづく)
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