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2010-07-12 00:00
与党過半数割れと当面の連立不成立が意味するもの
杉浦 正章
政治評論家
与党過半数割れと当面の連立不成立が意味するものは、政局の流動化であろう。勢いづいた自民党など野党は、早期解散・総選挙で政権奪回に動き、解散の綱引きが政局の軸となる。恐らく余す3年の任期を待たずに、解散となる公算が高い。首相・菅直人は続投を宣言したが、民主党執行部の責任問題の浮上は避けられず、選挙戦で露呈した前幹事長・小沢一郎とのあつれきが、9月の代表選に向けて拡大しよう。民主党政権はねじれ対策として国会では政策ごとの部分連合を目指すことになるが、党内的には150人の議員を動かし得る小沢の動きが、妥協による挙党体制に向かうかどうかのカギを握る。
最大の敗因は消費税増税をめぐる菅発言だが、この負け方は消費税だけが原因ではない。消費税が導火線になって、過去10か月の「何をするか分からない民主党政権」のイメージがよみがえり、民主党政治全体が問われた形となったのだ。普天間問題、暫定税率や郵政改革法案をめぐる混乱、数を頼みとした国会運営、小沢・鳩山由紀夫の「政治とカネ」など、民主党政治への失望感が投票行動へとはね返ったのだ。こんご焦点となるのは、ねじれ国会対策だが、自民党の福田康夫が首相時代に「自分が可哀想なくらいに苦労しているんですよ」と語った言葉を、ほうふつさせる光景が現出することになるだろう。連立の対象になり得る公明党、みんなの党は連立参加を否定しており、直ちに現政権に協力すると述べた政党はない。したがって「政策ごとの部分連合」方式で当面乗り切るしかないが、部分連合といっても桃源郷が実現するわけではない。
部分連合は大平政権で事実上失敗しており、大平はねじれに加えて、40日抗争が原因の心臓発作で、死に追いやられた。要するに野党が賛成する法案でなければ通らないことになるのだ。野党は、自民党総裁・谷垣禎一が「菅首相は一刻も早く解散をして、国民に信を問え」と述べているように、今後国会運営のあらゆる機会を活用して、民主党政権を解散・総選挙に追い込もうとするだろう。衆院議員はあと3年の任期を残しているが、とても3年間は持たないだろう。ハプニングや党内事情で解散に追い込まれる要素は山積している。加えて、党内抗争が始まりかねない情勢もある。「菅おろし」「幹事長・枝野幸男おろし」に加えて、国会では「参院議長・江田五月おろし」が展開するだろう。野党の評判の悪い江田は、野党第一党の自民党に取って代わられる公算が大きい。
「菅おろし」は首相就任後の任期が短かすぎて、攻める側も困難だろう。したがって、当面は「枝野おろし」の動向だ。菅は今のところ枝野をかばっているが、焦点は小沢サイドとの妥協の形の新幹事長人事が実現するかどうかだ。人事で干された小沢サイドが、中立または小沢寄りの幹事長人事を求める公算はある。小沢も、鳩山・小沢体制の選挙だったら恐らく一けた台まで転落しただろうから、大きなことは言えない。「小沢選挙」も総崩れだった。小沢との間で妥協が成立すれば、小沢の力を借りて公明との連立や、自民党との大連立も動き出す可能性がある。消費税はその核となりうる。しかし自民党は参院選での復調をバネに、衆院での復調を目指す動きにつなげようとするだろう。したがって一段と野党色を強め、早期解散に民主党政権を追い込もうとするだろう。民主党が3年前の参院選を「直近の民意」と主張して政権の正統性に疑問を挟み、早期解散・総選挙を求めた、のと全く逆の図式となろう。政局は、今後流動性を一段と強める方向にあると見ざるを得まい。当面の動きとしては、月末に招集されるものとみられる短期の臨時国会で、「江田おろし」が焦点となる。次に9月末の代表選挙に向けた民主党内抗争がどう展開するか、そして秋の長期臨時国会の動向へとつながる。
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