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2010-06-15 00:00
参院選へと“逃げの小五郎”の菅
杉浦 正章
政治評論家
政権初の国会本会議論戦で、首相・菅直人の答弁は、誰が見ても高支持率のまま参院選挙に逃げ込もうという姿勢がありありと出た。判断材料を有権者に与えず、期待値だけの「信任投票」を目指しているのだ。みんなの党代表・渡辺喜美が、いみじくも会津兵や新撰組から逃げまくった桂小五郎の別名「逃げの小五郎」と指摘したとおりだ。折から国会も予算委論議のないまま閉じようとしており、菅以下民主党政権全体が通常国会からの“とん走”をはかっている現状がありありと現出された。副総理時代の菅の普天間に一切言及しない姿勢を、筆者はかねてから「ポスト鳩山」狙いと指摘してきたが、本会議の野党質問でもここに力点が置かれた。自民党総裁谷垣禎一が「首相後継狙いの職場放棄、サボタージュだ。わざと鳩山首相を支えなかった」と指摘し、意図的に鳩山の身の処し方を忠告しない「不作為の責任」と追及した。渡辺も「逃げるのは、高杉晋作か。それとも逃げの小五郎ではないか」と迫った。図星を指されて菅は「谷垣総裁とも思えない勘ぐり」と切り返すのが精一杯だった。
最大の焦点である鳩山由紀夫と小沢一郎の政治とカネの問題についても、証人喚問を強く拒否して逃げの姿勢に終始した。同問題について、菅は、鳩山も小沢も「辞任したことで政治責任は果たされた」という姿勢に徹しているが、結局有権者がどう判断するかに委ねられることとなった。自民党の菅原一秀が「首相の言う奇兵隊は逃げ足が速いが、小沢邸の新年会で最前列に座っていたかと思うと、総理となれば脱小沢。まさに逃げ足の早さにおいて面目躍如」と斬り込んだのに対しては「小沢邸には民主党と自由党が合併した翌年の2004年から一度も欠かさず顔を出している。辞を低くして教えを請うのがいい、と忠告されたからだ。今年だけではない」と、勢い余って言わずもがなの答弁。癒着ぶりを露呈してしまった。
「イラ菅」の片りんも随所に見られた。質問書の政府提出の遅れがよほどしゃくに障ったと見えて、冒頭怒鳴りつけるように「誠実に答えたいが、質問をいただいたのがわずか2時間前。菅原議員にいたっては、わずか15分前だ。精いっぱい答えるが、時間的制約をつくったのは谷垣総裁だ」とかみついた。これには菅原が「民主党も質問書を全然事前に出さないことがあった」と切り返し、“おあいこ”に終わった。渡辺の「早期解散・総選挙」の要求に対して、「参院で国民の信を問う自信がないから、衆院の解散と言っているのではないか」と逆襲。参院選に相当自信を持っていることを垣間見せて、参院選向け逃げ答弁の本音がポロリの場面だった。
政策面でも逃げか、先延ばしに終始。中期財政フレームについては、中身を言わず「今月中に示す」、消費税増税についても「マニフェストで数日中に提起」と、すべて国会論戦への影響を避ける姿勢に終始した。自分の得意分野だけは雄弁であったが、そのほかの外交、経済などは90%以上が書類から目を離さず、官僚答弁の棒読みに徹した。鳩山の食言の二の舞を回避しようとする安全答弁の姿勢がありありと見られた。まさに「逃げの菅小五郎」が浮き彫りになったが、これは玄人の目。有権者の目にはまだ新鮮に映っていることを忘れてはなるまい。多少の失望感があっても、支持率低下を招くほどの流れは出まい。
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