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2010-06-13 00:00
(連載)イラン制裁決議の採択に残る疑念(2)
茂田 宏
元在イスラエル大使
イラン側が「西側は、交渉ではなく、対決の道を選んだ」として、話し合いを拒む可能性が高く、P5+1とイランの対立は、強まる可能性が高い。外交による解決の道はしばらく閉ざされることになろう。「低濃縮ウラン1.2トンを国外に搬出する」という、イランとブラジル・トルコとの合意も実施されることはないであろう。米国は、EUとともに独自の制裁措置をとり、「対イラン圧力を強める」としている。日本に対しても、この有志連合での制裁への協力要請がなされる可能性がある。
過去の制裁決議と異なり、ブラジル・トルコという重要国が反対した決議になった。米国は最後までブラジルを棄権させようと努力し、そうすればトルコも棄権すると考えていたようであるが、両国とも反対の姿勢を変えなかった。
制裁の内容については、それなりの内容であるが、中国がエネルギー分野でのイランとの協力関係維持を主張した結果、エネルギー分野での制裁はなくなった。ロシアがイランに供与を検討している対空防衛システムも禁輸の対象ではない、と読める文言になっている。ガソリン禁輸をすれば、イランが大きな痛みを感じただろうが、そういう制裁はない。中露は拒否権を持つ立場を利用して、自国の利益を擁護し、米国もそれを受け入れたと思われるが、これは拒否権の一種の乱用である。
米国は、国内政治・外交の惰性、イスラエルとの関係などのために、この制裁決議は止められなかったのであろうが、純粋に外交だけを考えた場合、この時期にこの内容の制裁決議を行うことが、イラン核問題の平和的解決のためになるかどうかは、今後の諸情勢の進展によって決まるが、かなり疑問がある。(おわり)
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