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2010-06-02 00:00
(連載)アメリカから「外国人労働者受け入れ問題」について考える (3)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
例えば、『The New York Times』は、町内会に集まった外国人労働者の怒りの声として、「冷淡」、「非人道的」、「近視眼的」などの表現を用いた当事者の批判をそのまま報じており、日系ブラジル人居住地域にとつては、種々の訓練プログラムを宣伝して、外国人労働者を魅了しようとしてきただけに、ショックは大きい。記事は、「日本の移民政策には何ら進歩がない」と厳しく指摘し、「スペインは、失業率15%以上に達した時、日本と同じような送還プログラムを採用したが、3年後には労働ビザを請求できるよう配慮した」などと指摘している。
『CNN』は、日本政府は語学教育、職業訓練、職業相談など、優れたプログラムを提供することで、外国人労働者を援助する努力をしながらも、それが効率的に機能していない点や、日本で働ことを強く希望しているまだ20代、30代の若い人たちが再度日本に戻ることが出来る可能性については、全く不明であり、「移民政策に関する徹底した論議があきれるほど不足している」と述べている。
ただし、このコメントに言及すると、「日本で働きたいことを強く希望する外国人は、誰でも受け入れるべきか」という質問には、即座にイエスとは答えられない気がする。犯罪歴がない、心身共に健全な市民であるかどうか、などは重要な要素である。また、人間の習性にはイナーシャ(慣れ)の原理が働く傾向があるので、熱帯地域からの労働者は、日本の厳しい冬の寒さに耐えられず、期限前に帰国するケースが多く出てくることはある。それに伴う損失や混乱を避けるためにも、現実的に対応する必要はあると思う。『BBC News』 が、日本の外国人労働者を取材した内容を報道しているが、「職業訓練を受けた外国人労働者が、日本人と同じ仕事内容、同じ勤務時間であるにも関わらず、労働条件と給与体系に不公平があり、大半の企業が法に違反している」と伝えている。
「政策委員会メモ」には「育成のコストは、企業や団体などが負担することになる」とあるが、『The New York Times』など、一部のアメリカのメディアは、「訓練経費は、給料から差し引かれる」と解釈しているようだ。「給与体系に不公平がある」というような批判を防ぐためには、企業が全面的に負担しないのであれば、職業訓練を受ける外国人労働者も、毎月の給料から何パーセントかは負担する必要がある事や、その他の細かい条件を事前に、送り出す国に明白にしておけば、給与体系の不公平感や無認識による誤解は、ある程度解消できるのではないだろうか? 労働条件については、勤勉で優秀な外国人労働者には日本人と同等の昇進の機会、滞在期間の延長、その他の様々な特典を与えるなど、平等性が徹底されなければ、外国人労働者に「人種差別されている」と批判されることは、想像に難くなく、世界に与える日本のイメージにも好ましくない結果を与えると思う。(おわり)
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