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2010-06-02 00:00
鳩山「続投」こそが「国難」に他ならない
杉浦 正章
政治評論家
なぜ首相・鳩山由紀夫の薄ら笑いが気持ちが悪いかというと、蝋人形のようだからだ。その蝋人形が、薄ら笑いに加えて、今度は親指を立てた。幹事長・小沢一郎らとの会談のあと「やった」と言わんばかりにである。会談の中身は漏れていないが、鳩山にしてみれば、何か得るものがあったのだろう。だから親指を立てたのだ。しかしこの行為が象徴するものは、支持率を10%台にまで押し下げた国民の心を小馬鹿にし、民主党内の切実な退陣論を無視する姿だ。このままでは鳩山タイタニックは舵を切れずに参院選挙の「氷山」に激突の構図であることが分かっていない。ぶつかれば船長は船と運命をともにするのだ。
いまや倒閣運動と言ってもよいのが、参院民主党内の動きだが、鳩山は民主党議員400人中たかだか改選組54人の動きだと、高をくくっているふしが濃厚だ。加えて閣僚からは、続投支持論が強い。仙谷由人、菅直人、前原誠司、岡田克也ら代表候補のいずれもが、交代しても選挙に敗退すればすぐに責任を問われることを意識し始めているのだ。とりわけ菅にその意識が強いと見た。たしかに参院選の情勢は極めて厳しい。先に予想したように、最悪の場合20議席台しか取れない恐れがある。1人区は前回5議席しか取れなかった自民党の裏返しのごとき惨敗。複数区は小沢戦略の失敗で2人擁立区が共倒れの潮流だ。民主党の秘密裏の調査でもその可能性が出ている。代表を代えれば支持率の回復がある程度期待できるが、小沢が残留しては回復も半ばだろう。
先が読めないSY首相には、とても参院選の結果までは考えが及ばないようである。ニワトリが目先の餌のことしか考えないように、小沢との会談が自分にプラスに作用したかどうかしか考えない。これが“親指立て”になって現れたのだ。そのうつろなる自信の背景には、小沢とは“一蓮托生”で対応できるという思惑がある。2人一緒の辞任の場合なら、もちろん抱き合い心中型だが、自分だけの辞任でも「新代表選出→党役員・閣僚人事→小沢更迭」になるが、「それでよいか」ということだ。皆が「後継候補らが再び小沢の支配下におかれてはたまらない」と思っているに違いないのも、鳩山にとっては有利な材料だ。ひょっとしたら鳩山は「政治とカネ」で首相しか知り得ない情報を握っているのかも知れない。小沢の弱みは握れる立場にある。
こうしたどろどろした事情を背景に、鳩山が政権維持に自信を抱いているのは間違いない。しかし、重要なポイントを理解していない。鳩山の一蓮托生の切り札は、とりもなおさず国家の指導者として排除しなければならない「悪のリンケージ」であるからだ。母親献金の疑惑のある自分自身と、政治資金疑惑の小沢が結託してしのごうとする構図となるからだ。また新政権が排除するはずだった永田町の密室政治によって、最低レベルとなった国民の支持率を無視する結果を招いていることも分かっていない。鳩山、小沢会談は密室取引なのだ。鳩山は「この国難に立ち向かう」ことを理由に政権維持の意向を表明している。しかし見回しても「国難」と言えるほどの問題は起きていない。「国難」とはすなわち「自らの続投」であることに気づいていないのだ。
この場面で最大の焦点は、自民党が参院に提出を決めている首相問責決議案だ。与党は3議席しか上回っていないから、数人の造反または欠席で成立し得る。衆院の不信任決議と異なり法的拘束力はないが、成立すれば“決め手”になり得る。自民党はよほどタイミングを狙って提出しないと、またずっこけるから注意が必要だ。新聞論調も朝日新聞の社説だけが、なぜか続投論だ。2日付社説も「考え違い」と鳩山降ろしを真っ向から否定しているが、大局を見ずに理に走りすぎている社説だ。社説子は「過って改めざる是を過ちという」という論語を勉強した方がいい。
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