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2010-06-01 00:00
(連載)アメリカから「外国人労働者受け入れ問題」について考える (2)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
単一民族の伝統を維持させながら、他国との交流も積極的な姿勢で臨み、更に日本の経済の活性化も図る手段としては、両方とも日本で働く意志のある結婚しているカップルに限定することも考えられる。夫か妻のいずれかが「不熟練労働者」であった場合、必要に応じ、職業訓練の機会を与えることは、まさに人道的配慮のある外国人受け入れ政策だと思う。また、日本人及び日本で働きたい海外の若い人たちに、将来の安定した生活設計に備えた仕事の選択の可能性と、独立への夢を育むことが出来るようなインセンティブを与えることが大事だと思う。
ひとつの方法として、長期、短期、高度、普通の職業訓練施設の拡大と充実が考えらる。アメリカでは、配線技師,配管技師、特に配管工事などのスペシャリストは将来性が高く、ある種の弁護士より高い収入が得られるケースもある。 高齢化社会の日本では、年齢を制限せず、働く気力のある高齢者にも職業訓練を受けるチャンスを与え、労働力不足の分野に積極的参加を促すなど、あるいは、高齢者も働ける仕事をもっと生み出すことも必要になってくると思う。アメリカでは、家庭電気製品や耐久製品などを販売するストアのセールスマンはコンピューターを利用して、客の個人情報を含めた販売リストと明細書を作成することが一般化されているが、ときには70歳以上と思えるような高齢者が、このような部門で働いている現場に出くわすことがある。このような点で、日本はどのような状況にあるのか、筆者には不明であるが、参考情報として付記した。
また、「政策委員会メモ」は、「介護職を除いて日本の失業率は高く、日本はまだ不景気である」ことを示唆しているが、このような状況で「不熟練労働者」をゲスト労働者として受け入れる移民政策は、世界が注目しているため、慎重に対応する必要があるのではないだろうか。介護職の人手不足は、日本もアメリカも同じであり、きつい労働の割りには給料が少ないため、介護教職さえ人気がないのが実態のようだ。アメリカの場合、介護の知識と経験のあるフィリッピンからの移民に圧倒的に依存せざるを得ない現状である。彼らは自国より、アメリカで働く方が収入が高いので満足しているという話を良く聞く。ある社会が介護職にどのような価値観をおいているかで、その給与基準は大きく変わると思うが、需要の高い時代こそ見直す必要がある。
アメリカのメディアは日本の移民対策に批判的な傾向がある、ことも見逃せない。昨年4月に日系ブラジル人の家族及び多くのラテン・アメリカ系移民で、3K(きつい、きたない、危険)に属するブルーカラーの移民は、会社が倒産し、不景気だという理由で本国に帰国させられた事例がある。その際、「観光目的及び高度専門知識による入国以外、二度と日本に戻ってきてはならない」という条件で、帰国の交通費として3000ドル、他に家族の扶養者1名に付き2000ドルずつ支払われた。この支払を受けた外国人労働者、特に100年前に日本からブラジルに移民した日本人の祖先又は親族を持つ日系ブラジル人が、非常に無念の思いで日本を去ることになったいきさつを、アメリカのメディアが報道している。おそらく失業し、途方にくれた外国人労働者に対する日本政府の援助プログラムとして、現金を支給し、帰国を促したものであると思うが、当時、アメリカの大手のマスコミは、このような対応を好意的には評価していない。(つづく)
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