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2010-05-31 00:00
(連載)アメリカから「外国人労働者受け入れ問題」について考える (1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
日本フォーラムでは少子高齢化問題の対策として、経済的及び人道的理由による外国人労働者の受け入れ問題について討議されているようである。4月26日開催の「第33政策提言『外国人受入れの展望と課題』第3回政策委員会メモ」は、日本の外国人労働者受け入れ問題について改めて考る機会となった。アメリカ在住日本人の立場からの感想と意見、更にアメリカのメディアが日本の移民政策に抱いている印象などについて述べてみたいと思う。単一民族の長い歴史を持つ日本にとって、外国人労働者受け入れ問題はある意味ではチャレンジだと思う。当問題に関し、次ぎのような点で理解しにくい部分が若干ある。
(1)日本の政策担当者は、日本が50年後、100年後にはどのような社会になることを目指しているのか。総体的には、単一民族の伝統を維持しながら、最小限度の外国人の受け入れを可能にし、帰化も限定数のみ考慮する方向にもっていきたいのか。それとも、アメリカと同じパターンになることを理想とし、長期的には日本人がマイノリティの民族になり、多種の民族が共存するマルチ民族文化の国にしたいのかどうか。(2)日本の少子化問題の根本的原因には、高い教育費、詰め込み教育と試験地獄、これを反映したストレスによる青少年犯罪、女性の社会進出に伴う子育てと仕事の両立の難しさなど、子供を育てにくい環境にあるのは長年の事実だと思うが、このような問題が解決されない限り、少子化の傾向は続くと思われる。つまり子供を生む女性が減少したこのような理由について、国一丸となってその解決のために最大の努力が払われたのかどうかという点。(3)長期的には「不熟練労働者」と「熟練労働者」のどちらが日本の経済と「東アジア地域の統合」というビジョンにメリットが大きいのか、その比較検討がなされたのか、また、職種別に大、中、小企業はどちらをより多く必要としているのか、などである。
このような点が明確にされて始めて具体的な案が出てくるのではないだろうか。外国人労働者受け入れは、人口と経済のバランスを基本にして考えた結果だと思う。年齢と人口数を示す人口ピラミッド・グラフの理想的な形状はベル型(丸みのあるピラミッド状)であるが、現在日本の状態はピラミッドを逆さまにした状態にあるようだ。人口と経済のバランスを維持するためには、日本の場合、1人の女性が平均2.2人の子供を生み育てることが安定した人口を維持するためには必要である。戦後、4~5人子供を生んだ女性も多かった「生めよ育てよ」の時代に比べると、平均2.2の出産を奨励しても、人口が極端に増えることはないはずである。
少なくとも、子供を生む事をあきらめる必要のない政策を推進し、一方では外国人労働者を受け入れて、歳入を増やすことがベストではないだろうか。無理のない経費で子供を預けることの出来る施設を増やすことも、ひとつの奨励政策として考えられる。従って、国の歳入を増やすためには、今後も外国人労働者をゲスト労働者として期限付きで、定期的に受け入れていく必要があると思う。しかし、その期限内は両側が契約の遂行を徹底すべきであり、日本滞在中は生活を保証するシステムを構築する必要があると思う。(つづく)
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