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2010-05-25 00:00
参院選は、民主惨敗、みんなの党躍進か
杉浦 正章
政治評論家
ごうごうたる世論の責任追及論にもかかわらず、5月24日の民主党内は、まさに寂として声なしだった。「退陣要求」どころか、渡部恒三にいたっては「鳩山君に内閣をさらに継続して続けてもらわざるをえない。私の口から『鳩山君、退陣すべきだ』とは間違っても言わない」と、いつの間にか政権を支えはじめた。ツートップへの批判が出ないのはなぜだろう。これは「民主党文化」とも名付け得る特異現象としか思えない。こうして「鳩山・小沢体制」での参院選が潮流になって来た。結果は、民主惨敗、みんなの党躍進、そして自民復調だろう。
政党文化の違いはどこから出ているのだろうか。まず民主党は、戦後一貫して体制に抗し続けて来た勢力を基盤としており、打たれ強いのだろう。社会党出身議員、労組出身者、社会運動家などが幅を利かす政党だ。マスコミの批判など、本心では意に介していないのだろう。若手は、幹事長・小沢一郎から「選挙区に帰って、戸別訪問せよ」と厳命を受けて、政治への思考能力など止められたままだ。そういった文化的風土から「参院なんか負けたって、衆院がある」(党幹部)といった発想が出てくるのだろう。
小沢の基本戦略も、当面郵政改革法案で国会をリードして、農水相不信任案や内閣不信任案は粛々と否決し、6月16日の閉幕に逃げ込む、という戦略だろう。そうすれば党内は選挙一色となり、徒党を組むような動きも封じられる。首相・鳩山由紀夫に辞められては、自分のクビが危ういから、辞めさせない。すべては7月11日の参院選投開票後に持ち越す。大敗したら公明党やみんなの党にまで触手を伸ばし、連立は無理にしても、大平正芳が行った政策ごとのパーシャル連合(部分連合)などで生き延びようとする。問題は小沢にその力が残るかということだ。参院選2人区以上で複数候補を立てる戦略は、総選挙圧勝の波を背景に打ち立てたものであり、追い風が途絶えた中での二人当選の可能性は極めて少ない。状況の変化に順応できないから、「老化現象」(渡部)と言われるのだ。
問題は、29の小選挙区でも惨敗の目が出る可能性が高いことだ。小選挙区には、前回自民党が5議席しか取れなかったのと酷似したムードがある。退陣に追い込まれた橋本政権は、全体で44議席、宇野も36議席だったが、この逆風の強さでは、民主は20議席台に落ちてもおかしくない。みんなの党がブームとなっており、既に27人の候補を立てて波に乗っている。民主党が失う票は、みんなの党と自民党に流れるだろう。その他の雨後の筍政党は、まだ分析不可能だ。したがって、鳩山・小沢ラインは国政選挙敗北という深手を負うのが必至である。憲政の常道にのっとり、首相と幹事長は潔く退陣すべきだろうが、異文化政党にその動きが出るか。遅くとも9月の党代表選挙で、まさか鳩山を再選させることはあるまい。後継に菅直人がなるにしても、岡田克也がなるにしても、国会運営は厳しく、早期解散に追い込まれる要素は多分にある。
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