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2010-05-12 00:00
ルーピー(愚か)なのは、閣僚たちも同じ鳩山内閣
杉浦 正章
政治評論家
平家物語に「国に諫(いさ)むる臣あれば、その国必ず安し」とある。主君の過失を諫めるものがあれば、その国は安泰だというのだが、この国は逆だ。閣僚うちそろって首相・鳩山由紀夫の虚言・妄言の擁護・礼賛に当たり始めた。しかし、その発言を分析してみると、いずれもはじめに擁護ありきで、欺瞞(ぎまん)性に満ちている上に、論理的に破たんしている。そもそも破たんした首相の発言擁護だから、無理もない。事の善悪の判断が、閣僚レベルでつかなくなったら、もう政権は末期状態ではないか。
司馬遼太郎によると、老中から日米の違いを聞かれて、勝海舟は「重い職にある人は、その分だけ賢うございます」と究極の皮肉で答えているが、近ごろとみに欧米やアジアの指導者たちが立派に見えてくる。「ルーピー(愚か・現実離れ)鳩山」のせいだけではない。発言を聞くと、この内閣は「ルーピー内閣」ではないかと思えてくるからだ。まず、かねてから小生がルーピーの見本と見ている郵政改革金融相・亀井静香は、「引田天功ではあるまいし、手品みたいに一挙にできないからと言って批判しまくるのもどうかと思う」だそうだ。手品を言うなら、「ハトが出ますよ」と言い続けてきたのは誰か、と言いたい。「出る」というからかたずをのんで見守っていた結果が、「県外移設」断念ではないか。
防衛相・北沢俊美は「交渉事が残るのは仕方ない」と発言したが、交渉が残っては「結論」とは言わない。鳩山は、いまだに「対米、対沖、対連立の交渉を済ませて、5月末に結論」と言い続けているではないか。国家戦略担当相・仙谷由人は「5月末にこだわって、どうのこうのよりも、鳩山政権のやるべきことはもっと広くて大きい」と宣うたが、誇大妄想ではないか。普天間問題ほど国の舵取りの能力が試されている問題はない。そのことが分かっていない。国土交通相・前原誠司は「継続していくことになるが、先送りでもなければ、決着の断念でもない」と述べたが、賢いようで、賢くない。継続して、それが何で先送りではないのか。首相自身の約束を理解していない。消費者少子化担当相・福島瑞穂は「ひどい結論を5月末に出されるぐらいならば、沖縄の負担を軽減する本質的な真の解決を目指すべきだ」と先送り論。せっかく大臣になれたのだから、地位にすがりたい気持ちはよく分かるが、「県内」の結論は出ている。その場合政権離脱するのではなかったのか。
はちゃめちゃ、支離滅裂と言ってよい閣僚発言集だが、問題は、首相発言が困難と分かっていながら、諫めるものが一人も居ないことだ。ところが「家貧しうして、孝子出づる」の発言が、何と小沢チルドレンからあった。首相・幹事長の辞任求めたのだ。民主党衆院議員の横粂勝仁(当選1回)が5月11日、国会内で記者団に、「民主党は、期待していた姿とは違った第2自民党の方向にに近づきつつある。政治とカネと普天間の問題で、(首相と小沢氏の)2人について、厳しい批判をいただいている。そこを抜きにして、民主党は生まれ変わることはできない」と述べ、辞任を求めた。民主党内は政局慣れしていないのか、小沢が怖いのか、保身のためか、ここまで追い詰められても、動きが出ないが、勇気あるまっとうな発言だ。
そもそも衆院308議席もあるのだから、「鳩山・一郎」が倒れてもまだ政権は維持できるのに、なぜか恐れている。むしろ刷新しなければ参院選で一人区は目も当てられないほどの惨敗になるだろう。自民党だったら、とっくに政権が変わっている事態なのに、民主党の対応は鈍い。LDPは自民党の略のはずだったが、ネットでは民主党のことをLDP(Loopy Democratic Party)と呼んでいる。解説は「日本語にすればさしずめ『愚民党』ですかね」と、センスのいい発言が飛んでいる。
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