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2010-05-11 00:00
広がるメキシコ湾原油流出の経済的被害
島 M. ゆうこ
エッセイスト
メキシコ湾原油流出事件が及ぼしている経済的損害は、想像以上に深刻である。連邦政府は、事件後直ちにミシシッピー川からフロリダ沿岸までの領域での漁業を当分の間禁止したため、沿岸地域はビジネスのみならず、一般住民にも大きな影響が出ている。数日前には、ミシシッピー川領域の解禁が延期されただけでなく、さらにルイジアナの南西部につながっている沿岸も閉鎖された様子である。
レストラン業界は魚介類のメニューが準備できず、通常の営業に支障が生じている。魚介類専門店は一時閉鎖に追いやられ、また湾岸観光地域ではホテルのキャンセルが相次ぎ、収益見込みが減少している。メキシコ湾から遠方の地域にもその影響は波及している。例えば、フロリダなどでは、品不足のため、海産物の値段が20~30%も高騰している。あるレストランの経営者は「現在の不況で既に客が減っているのに、これ以上客を失うわけにはいかないので、メニューの値段を極力抑えるようにしている」と話している。
アメリカ国民が食べている海老、牡蠣、蟹などの3分の1は、ルイジアナから出荷されており、特に国内の海老の70%はルイジアナで捕獲されている。海産物企業の年間売り上げは、ルイジアナで24億ドル、ミシシッピーで21億ドルと言われているが、ルイジアナでの魚介類の損失は、約2週間で23%に達したと伝えている。このため損害を受けた海産物業者によるBPへの訴訟が相次いでいる。BP側は「訴訟しない個人、業者または団体には、それぞれ5000ドル支払う」と公約しているようである。
皮肉なことに、最大の経済損失に直面しているのはブリティッシュ・ペトロリアム (BP)当事者に他ならない。「連邦政府は、原油清掃にかかる全ての費用の支払いをBPに求める」と報道しており、BP側も承知している。清掃にかかる費用は1日600万ドルで、流出した原油の損失は市場相場で億単位と言われる。 ちなみにBPの2009年の利益は400億ドルと言われている。人口が集中している湾岸地域での海底原油掘削作業は、厳重な安全対策が必要であるにも関わらず、BPはそのような安全基準に技術的な不備があった。BPに清掃の全面的責任があるのは当然である。
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