ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2010-05-04 00:00
(連載) メキシコ湾原油流出事件の衝撃について思う(1)
島 M. ゆうこ
エッセイスト
4月20日、イギリスの国際石油会社・ブリティッシュ・ペトロリアム (BP)がメキシコ湾での海底原油掘削作業中、爆発事故を起こし、多くの被害者を出した事件は、環境及び生態系に深刻な影響を及ぼす問題として注目されている。隣接沿岸海域への莫大な原油漏れが懸念され、フロリダ州は既に緊急事態を宣言した。現在、清掃作業は困難を極め、毎日約80万リットルの原油が海底から流出しているため、全く進歩が見られていない。このため、アメリカ歴史上最大の環境災害になる恐れが懸念されている。
事故の責任は、ヒューストンやテキサスに本拠がある世界最大の石油掘削機械販売会社・ハリバートン(Halliburton)社が、BPにリースした器材の一部に欠陥があったため、と報じるメディアもあるが、正確な原因はまだ不明であり、その解明が急務になってきている。このハリバートン社は、2001年2月、ハワイのオアフ島沖でアメリカの潜水艦グリーンビルに下方から衝突されて、沈没した実習船愛媛丸の難航を極めた回復作業に関与した会社である。しかし、2001年新しく発足したブッシュ政権下で副大統領だったデイック チェイニーは、この会社の株主であり、1995年から2000年までは最高経営責任者(CEO)であった。9.11後は、原油に関係が深いと言われるイラク戦争で影響力が強い人物だったことは知られている。
今回の事件は、1989年3月、エクソン・バルディーズ(Exxon Valdez)がプリンス・ウィリアム湾で座礁し、積んでいた原油を流出した事件で、莫大な環境被害と経済的打撃を与えた事件を思い起こさせる。どうしてこのような大惨事が繰りかえされるのか、理解しがたい。しかし、環境への影響を無視できない原油の掘削問題は、アメリカのエネルギー政策、及び外交政策に大きな関わりがあることも、否定できない。アメリカは、原油に代わる「環境にやさしいエネルギー」の開発にもっと税金を有効活用すべきだ、という声は長年続いている。
国立公文書出版社(NAPC)の資料によると、第二次世界大戦後、増え続ける人口及び急速な世界経済の成長により、原油が主な地球的規模でのエネルギー資源になっている。世界の人口の5%にあたるアメリカは、実に世界のエネルギーの25%を消費している。従って、アメリカのエネルギー政策が世界の経済及び環境問題に影響を大きな及ぼしているのは言うまでもない。アメリカのエネルギー資源は、原油約44%、天然ガス21%、石炭23%、原子力7%、水力発電4%の割合であり、最も依存しているのは原油である。車社会であるアメリカの運搬資源は、驚くことに70%から100%も原油に依存している。
(つづく)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム