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2010-05-02 00:00
(連載)新しい国家目標を持とう(2)
湯下 博之
杏林大学客員教授
第二の柱は、人間重視の価値観の再興と世界への発信である。日本をはじめ経済的には豊かになった国において、「心の病い」がまん延している。その一因はモノやカネが人間に優先していることにある。切さたく磨や助け合いのないドライな競争社会は、幸せや発展にはつながりにくい。「会社は、そこで働く社長から従業員までの人々のものではなく、株主のものである」といった考え方も、日本の伝統とは矛盾する。高齢者も社会の一員として働くという仕組みを作らないで、社会のお荷物視するのも、真の人間重視とは相容れない。日本には「和をもって尊しとなす」という価値観や、助け合いの伝統があった。多文化共生が必要な現在の世界、マネー・キャピタリズムに振りまわされた現在の世界において、日本の持つ人間重視の価値観や和の哲学を再活性化して、世界に発信できれば、日本および世界にとって望ましい。
第三の柱は、平和と繁栄のための国際貢献を国是とする対外行動である。環境問題について日本は優れた技術の実績を有しており、これを活用した国際貢献を更に強化することは、日本の発展や国際的な評価にもつながる。平和の問題についても、冷戦が終結し、多極化の時代を迎えている今日では「自ら武力を用いることはしない」というだけの、従来の「消極的平和主義」は適切でなくなっている。外交を中心としつつも、必要な場合には国際社会と協力して武力の行使をも含む活動を行う「積極的平和主義」が、憲法前文の精神にも合致する(2009年6月26日の拙稿「新しい平和主義を国是に」参照)。国際政治において、「和」の価値観の発信も重要かつ有意義である。米国との関係を基軸としつつ、米国に対して「和」の思想を尊重させることや、中国に対して、米国と協力して、「責任あるステークホールダー」になるよう仕向けること等も、その一環である。
以上の三つの柱を支柱として、日本が人間としての豊かさが感じられ、世界から尊敬され、したわれる国になることを国家目標とすることが、これからの時代の要請であると思う。(おわり)
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