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2010-04-24 00:00
(連載)医療保険改革の危機を乗り切ったオバマ大統領(1)
若林 秀樹
元参議院議員
3月30日、オバマ大統領は、「医療保険改革法」の修正条項に署名し、これをもって医療保険制度改革の法制化が完了した。この医療制度改革は、米国政治100年の課題であり、1965年のメディケア(高齢者向け公的保険)及びメディケイド(低所得者向け公的保険)以来の大きな保険制度改革となる。しかし社会保障の根幹である医療制度の重要な政策決定に、野党共和党議員のみならず、与党民主党議員も34名が反対に回った。念願の国民皆保険に近い制度改革という評価はできるものの、多くの人に祝福された新制度の誕生とはならず、国民の間に亀裂を残すことにもなった。
若干、これまでの経過を振り返ってみよう。医療保険制度改革は、オバマ氏にとって大統領就任当初からの最重要内政課題であり、支持率が下がり続け、中間選挙を控えたオバマ政権にとって、1年間も議論が続いているこの課題に対して、何としてでも決着を付ける必要があった。しかし支持率が下がったのも、この医療保険制度改革が原因の一つなのである。そしてこの制度改革の行方に決定的な打撃を与えたのは、1月19日、民主党の牙城だったマサチューセッツ州の上院議員選挙で、この医療保険制度改革に反対した共和党候補者が当初の予想を覆して勝利したことであった。この時は、誰もが中間選挙前の医療保険制度改革の成立は難しいと考えた。そして直前の世論調査でも、この制度改革に対する「賛成」は36%と「反対」の48%を下回り、国民からも嫌われていた法案だったのである。
普通であれば、ここはリスクを避け、一旦退いてこの法案の決着を先延ばしにすることも十分考えられた。しかしオバマ大統領は、この問題に決着をつけられないような政権であれば、逆にこの中間選挙でボロ負けすると考えたのであった。ここが政治家としての勘所である。そして見過ごせないのが、この逆風を全く気にせず、下院では不人気の「上院案」を下院議員に飲み込ませたペローシ下院議長の手腕であった。もちろん中間選挙を控えた民主党議員も危機感を募らせ、マサチューセッツ州での敗北がむしろ議員間の結束をもたらしたことが背景にあったことは事実であるが。(つづく)
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