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2010-04-13 00:00
(連載)オバマ政権下での「ほろ苦い」英米関係(1)
河村 洋
親米NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
バラク・オバマ米大統領は、その就任以来、ヨーロッパ諸国民からイラク戦争による大西洋関係の亀裂を癒すことを期待され、人気は高い。しかし、イギリスは例外である。ブッシュ政権期から、イラク戦争とアフガン戦争でのイギリスの貢献は他の追随を許さない。それなのに、オバマ氏は、昨春、エリザベス女王とゴードン・ブラウン首相に対し不注意な振る舞いをし、イギリス国民の怒りをかった。また商工相のピーター・マンデルソン卿はバイ・アメリカン条項を批判した。さらにボブ・エインスワース国防相は、オバマ氏がアフガニスタンへの増派になかなか踏み切れないことに、不満を述べていた。今年の3月にはイギリス下院で英米関係から「特別」の単語を外すよう勧告書が出されたほどである。
オバマ政権は、英米特別関係を重要とは考えていないのかも知れない。しかし、バラク・オバマ氏は大統領選挙のときから、「アフガニスタンでの戦争は対テロ戦争とアメリカの国家安全保障の中できわめて優先度の高い案件だ」と主張し続けており、この戦争でのイギリスの貢献度がアメリカの同盟国の中でも群を抜いていることは否定できない事実だ。よって、イギリスのメディアや専門家の視点に言及することは、非常に重要である。
まず、イギリスの視点からオバマ氏がどのように評価されているかを述べたい。王立国際問題研究所のロビン・ニブレット所長は、タイムズ紙のブロンウェン・マドックス主任外交論説委員が司会を行なったパネル・ディスラカッションで、オバマ政権下でのアメリカ政治を語った。ニブレット氏は、オバマ氏に10点満点で8点の評価を与えたが、「政策の実施は、始まったばかりで、何の成果も挙げていない」と述べている。
現在のオバマ氏は、健康保険法案の議会通過と失業率の抑制といった内政問題にかかりきりである。よってニブレット氏は「中東和平のような国際問題に取り掛かれるのは、中間選挙以後になる」と述べている。参加者の一人から「オバマ氏はブッシュ政権下で傷ついたアメリカの評価をどのように修復するのか」という質問があった。ニブレット氏は「オバマ大統領は、就任以来、敵対勢力(イラン)、反対勢力(シリア)、競合勢力(ロシア、中国)、同盟国(ヨーロッパ、トルコなど)との関係再構築を行なってきた」と答えた。イギリスのメディアは、オバマ氏を激しく批判したが、ニブレット氏は「アフガニスタンでの軍事作戦と昨年4月のG20ロンドン・サミットをめぐって英米関係は強まった」と述べている。(つづく)
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