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2010-04-07 00:00
アメリカから日本の移民問題について考える
島 M. ゆうこ
エッセイスト
3月14日付けのワシント・ポストは、日本の少子化問題に関連し、外国人非熟練労働者を幅広く受け入れるという日本政府の提案に関する記事を掲載した。日本を訪問し、政府の指導者や沢山の移民にインタービューした記者は、日本人が移民に対して人種偏見を持っているような印象を抱いたことを、文頭に比喩を用いたくだりで書き始め、「日本人は移民を歓迎しない」という趣旨の内容をリポートしている。この記事に対して、日本とアメリカ両方に住んだ経験のあるアメリカ人、又は一般のアメリカ人から多くのコメントが寄せられた。「日本人は移民に対してかなり人種偏見がある」と思っているアメリカ人も、「単一民族の伝統を維持している日本はうらやましい」と思っているアメリカ人も、沢山いることが分かり、日本の今後の移民の受け入れについて改めて考えるきっかけとなった。
現在、日本人口に占める移民の割合はわずか約1%で、ほとんどが技術のある労働者であることや、今後、非熟練労働者も大幅に受けいれるという政府の方針に対して、都会に住む大半の若い人達は受け入れる気持ちがあるが、年配者には反対する人が多いということは、理解している。しかし、仮に、移民を受け入れず、出産適齢期の女性が頑固に子供を生むことを拒み続ければ、数百年後の日本はどうなるか。そういう深刻な事態を真面目に考える人がどれ位いるのかは、疑問である。大半の日本人は自分の意見を明確に表現することを避けている傾向がある気がする。
アメリカが世界最大の経済大国になった要因は移民によるところが大きい、という事実を見逃すことはできない。しかし、かなり複雑で深刻な問題が数多く残るアメリカの移民問題を、今後の日本の移民問題とオーバーラップして考える傾向のある私のような在米日本人にとって、ある一面で日本はアメリカの轍を踏んでほしくない、という卒直な気持ちもある。しかし、日本とアメリカには地理的に大きな違いがあるので、アメリカと同じような移民政策が施行されることも、全く同じような移民問題が発生することもないかもしれないが、経済格差が広がるという懸念又は意見は、アメリカにも日本にも共通している。多種のブログに寄せられた移民の増加に賛成しない日本人の共通するコメントは、移民と日本人との経済闘争、それによる人種差別、それが高じる犯罪の可能性が懸念されているようだ。
このような問題はまさにアメリカの歴史上繰りかえされてきた事だ。更に、こちらのパターンを良く観察すると、生産年齢の移民労働者には両親を一緒に伴うケースも多く、ひどいケースになると、兄弟や姉妹、いとこ、おじやおば、祖父や祖母など親戚をじょじょに招くケースも多いのだ。いくら生産年齢の移民労働者が増えても、それに伴って移民の老人が増えた場合、プラス、マイナス差し引きゼロの経済構造になる可能性もある。政府は今後も更に、アメリカの移民政策の比較研究も含め、日本に適合した移民政策を打ち出し、上記に述べたマイナス要素を解消する為に、様々な角度から移民問題を検討する必要があると思う。
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