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2010-04-05 00:00
「古希新党」は海図無き航海へ
杉浦 正章
政治評論家
与謝野馨71歳、平沼赳夫70才で、年を取っているから悪いと言うわけではないが、古来稀なる「古希新党」の発足とあって、どうも最初から陰気くさい。おまけに与謝野が咽頭癌、平沼が脳梗塞をそれぞれ経験しており、アメリカだったら家人が止めるだろう。新党となれば多少なりとも高揚感が湧くものだが、「与謝野・平沼新党」ブームは確定的に発生しないだろう。何の理念もなく、狙いは、ただひたすら民主党の参院過半数割れ。外相・岡田克也が「判断間違ったのではないか」と述べたが、筆者もそう思う。新党は海図無き航海へ船出するしかあるまい。前幹事長代理・園田博之は、新党結党の理由について、4月4日「民主党政権が今後3年も続いたら、日本が劣化する。衆参ねじれを起こして、政策変更をしないと、悪い方向に行く」と述べたが、この状況認識は全く正しいと思う。
ただし、新党結成の方向については、「数を増やすつもりはない。志の問題であり、数の問題ではない」と、自民党内に離党工作をしない方針を鮮明にさせた。与謝野も総裁・谷垣禎一に「自民分裂と受け取らないで欲しい。与謝野が1人去ったと言うことだ」と述べている。どうもこれらの発言からみると、文藝春秋に「新党結成」を書いて、引っ込みがつかなくなった、感じが濃厚だ。総裁・谷垣禎一も「あそこまでお書きになれば、こうなる」と述べている。ちゃんとした政策理念での新党結成と言うより、人事刷新を谷垣に求めたが、谷垣がこれを拒絶したから、相容れなくなった、という側面が濃厚である。新党結成というなら、まず政策理念を発表して、これに同意する議員を糾合するのが筋であろう。それどころか、与謝野も、園田も、自民党と対決せず、むしろ自民党を再生するための離党である点を強調する。
しかし、こんな矛盾撞着はない。離党自体が民主党を喜ばす“利敵行為”であることを忘れている。重要なポイントとして、園田は「鳩山内閣の支持率が半減しても、自民党の支持率が上がらない」ことを挙げ、第3極を作って、これを吸収する、と言うが、この見方にも疑問がある。自民党の支持率は、調査によっては上昇しており、また無党派層が自民党指向を示す調査も出て来ている。加えて、長崎知事選、町田市長選など大きな選挙や中小自治体の選挙で、自民党が勝ち始めているのである。鳩山内閣の体たらくをみると、政治とカネと普天間で更なる支持率下落が予想され、参院選挙までのスパンでみれば、相対的に自民が有利になる可能性が十分ある。与謝野は、「現状では民主党が過半数を取る」との判断だが、とてもその力は、今の落ち目の民主党にはない。
小沢が複数擁立で強気なのは、虚飾の突っ張りを見せているだけだ。与謝野は、選挙情勢分析を間違っているのだ。また第3極というが、1人区で自民党候補を応援する政党が3極を標ぼうするのもおかしい。むしろ「第2自民党」で自民党補完勢力そのものではないか。また3人区以上の区での参院候補擁立を予定しているが、2人擁立の小沢戦略を利することになりかねない危険性を内包している。保守の共食いの危険である。加えて政治地図には、新たに「みんなの党」がミニブームと言っても良いほどの人気で登場しつつあり、自民党が落としたボールは、「みんなの党」が拾ってしまう可能性の方が高い。与謝野・平沼新党が入り込む余地があるかどうか疑問である。「数の問題ではない」と園田は述べるが、自民党の中堅・若手は、見るところを見ている。山本一太が「与謝野さんは選挙区で落ちて自民党の比例で当選したのに、離党で党に迷惑をかけるのはおかしい」と述べているのも、もっともだ。数を「集めない」のではなく、「集まらない」のが実情なのだろう。与謝野は政策的には極めて有能な政治家だが、政局となるとどうも方向性がおかしい。政策1流、政局2流だ。
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