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2010-03-17 00:00
(連載)「核密約」調査は大きな一歩前進だが(2)
若林 秀樹
元参議院議員
外交や安全保障の性格を考えれば、時の政権の責任において「密約」の存在は不可避である。しからば、いつ、どのような形で国民に密約の存在を明らかにすべきかが課題となる。そしてその際に、本当にその密約の存在が日本の国益や安全保障にかなったのかどうか、検証されねばならない。我々はその歴史的検証から教訓を引き出し、それを未来に生かしていくしかないのである。
密約を結んだ背景には、日本国民の強い反核感情があり、時の政権の苦悩があったことは事実である。アメリカ側の核政策、特に核兵器の配備を肯定も否定もしない「NCND政策」を、日本側の「核の抑止」に対する期待や「非核三原則」とを両立させるには、ある意味で「曖昧さ」を保つことが必要であった。しかし冷戦が終結し、1991年には米軍艦船からの戦術核の撤去宣言があり、アメリカでその密約の存在を裏付ける公文書が公開された後も、日本政府はなおも国民に嘘を言い続けた。しかし、ほとんどの国民は、政府の発言を信じなかった。むしろ国民の方が現実的な国際政治に敏感であり、日本に核は存在したとしてもおかしくない、と思っていたのである。少なくとも政府は、アメリカで文書が公開された後、その核密約の存在を認め、何故それが必要であったかを、国民に説明するべきであった。そこから国民は学んでいくのである。野党の追及や国民の一時的な不支持を恐れた自民党政権や官僚の保身としか思えない。
今回の密約調査は大きな一歩である。しかし、この調査結果を将来の日本の安全保障にどう結びつけ、どのような日米同盟にしていくのか、全く議論がなかったのは、残念である。鳩山首相や岡田大臣は、日米関係に影響を与えないように配慮し、国民に対しては「非核三原則」の堅持を述べるだけであった。これでは日本の安全保障に進歩はない。
「真の非核三原則」とは、核の傘には入らないことを意味するものである。しかし日本の安全保障の為には、当面の間にせよ「核の傘」が必要であると判断するのであれば、改めてそのことを明確にすべきであり、そのためにはどのような米国との取り決めが現実的なのか、健全な安全保障議論を行うべきではなかろうか。それによって、国民の合意の下で「非核三原則」も必要であれば変更すべきである。国内有権者向けには「非核三原則」でいい顔をしながら、他方で米国の「核の傘」を当てにする今の姿勢を続けるだけでは、米国の鳩山政権に対する不信感は増すだけである。岡田大臣も「アジア非核地帯」が理想ならば、オバマ大統領の「核兵器なき世界」のように、どれほど時間がかかっても、一歩でもそれに近づけるために、今回の調査報告をどう結びつけるのか、発言して欲しかった。(おわり)
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