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2010-03-12 00:00
(連載)外交に関する世論調査(2)
大河原 良雄
・グローバル・フォーラム代表世話人
(4)日本と中国との関係
日中関係をどう見るかについても、当然の事なのであろうが、上記と同じ現象が見られる。1986年に「良好だと思う」は76.1%で「良好だと思わない」の14.1% を圧倒的に越えていたが、翌1987年に「良好」70.2% 、「非良好」19.3% と記録された後、逐年悪化傾向を辿り、両者共に40% 台から50% 一寸と推移した。1997年に「良好」45.7%、「非良好」45.9% と相拮抗し、爾来「非良好」が「良好」を凌ぐ形が続き、2004 年には「非良好」が61% なのに比し、「良好」は28.1% に止まり、2005年には71.2% 対19.7% まで悪化している。
2009 年には「良好だと思わぬ」が55.2%、「良好だと思う」が38.5% とかなりの回復を示しているが、2010年に果たしてどの方向に数字が記録されるか、関心をそそるところである。偶々手許にある外務省の2006年3月の日中関係に関する意識調査によると、「日中関係は良好だと思う」が6.9%、「良好だと思わない」が66.7% と記録されているが、今回の調査結果をみれば、好悪それぞれについて急速に好悪の差が激化しているのが注目される。好悪の偏差は、1998年の76.1% と14.1%、即ち62% と相当のズレがみられるが、1990年代にみられた如き、5% 前後に推移する状況が戻って来るや否や、日中関係の推移に関心が持たれるところである。
小泉内閣当時、靖国参拝問題を繞って日中関係は最悪の状態まで冷え切ったが、安倍内閣時代に改善の努力が払われ、「戦略的互恵関係」を増進する努力が進められたものの、中国側の対日批判の空気を反映して2008年に「日中関係は良好だとは思わない」が71.9% 「良好だと思う」が28.7% に止まっていた。尤も、鳩山内閣の登場による対中積極政策の推進に伴い、対中感情の大幅な好転が見られる。2009年55.2% 対 36.5%であり、好悪の偏差は1986年に76.1%対14.1%、即ち62% とかなり大きかったが、その後は2003年までは40数%と50数%の間で相拮抗している。
(5)米中関係と日本の対中観
最近人民元問題、台湾への武器供与問題、それにダライ・ラマのホワイト・ハウス訪問等で、米中関係に新しい不協和音が奏でられているが、米中関係のあり方が日本の対中関係観にも影響を及ぼす可能性について、十分な注意が必要であるだろう。(おわり)
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