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2010-03-05 00:00
舛添要一氏のスピーチに思う
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
外国特派員協会のプロフェッショナル・ランチョンで舛添要一氏のスピーチを聞く機会があった。内容は、先の参院選敗北の原因分析から、自民党新生(再生なんぞをしてはダメで、生まれ変わるしかないという)への方向性、さらに当面の政局についてのコメントというのが、おおよその構成だった。
「族議員を核とする政官財のトライアングルに安住したのが自民党敗北の理由で、これは特定利益集団にだけ奉仕していれば足りる、という中選挙区制を前提にするものだった。だから一人の勝者しか存在しない winner takes allの小選挙区制には、体質的に対応できない。一般に向けてのコミュニケーション能力が政治家に問われる時代になっていることを認識すべきだ」とする。この辺りまでは、余り耳新しい話ではない。ただ、舛添氏は「比例代表制の拡大導入と中選挙区制の限定的復活が望ましい」とする。そして、民主党の経済政策の不在を論難した後に、「日本の活力は、産業界の世界市場における復権によってもたらされる」とし、「そのためには、法人税制の見直し(韓国に較べて2倍。これではみんな海外に出て行ってしまう。雇用が増える訳がない)あるいは自由貿易協定(FTA)の拡大(農業のバラ撒き補償による保護などをしている時代ではない。市場原理下で生存できる農業に向けての施策を考えるべき)といった政策が肝要だ」とする。
さらに面白かったのは、「期待される首相として、舛添自身が20%を超える人気がある」ことを指摘された後に、「同じ調査で、谷垣氏が常に1%程度の支持しか集めない」ことに言及。「自民党が総裁を取り替えなければ、党に留まる気はない。のみならず、例えば法人税見直しなどの彼の基本政策に旧態依然たる族議員が反対するようならば、党を割って飛び出す」と明言したことだった。
ちなみに彼は、この1時間半のセッションを英語で通した。流暢とは言い兼ねるものの、馬力で通じさせてしまう同氏の英語力は尊敬に値する。ただし、ちょっと込み入った話、例えば「消費税について議論をする必要があるというのが持論であると聞いている。それなのに菅蔵相の消費税に対する言及を非難するというのはどういう訳か」という質問に対しては、「参院選を控えたこの時期に、消費税に言及するというのは、財務省の役人に言わされたとしか思われない」としか答えられない。日本語だったらもっと上手に答えられたろうに、なまじ英語が出来るのも良し悪しの面もあるのかな、と思ったりもしたことだった。日本から生きの良い特派員がいなくなって久しい。今回もそうだったが、このクラブでの質疑応答の内容と質問者の顔ぶれに、改めてこの国はもはや世界の関心対象ではないのだな、と痛感する。
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