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2010-02-24 00:00
予想される民主党「5月の変」
杉浦 正章
政治評論家
「幹事長の入ったポスターは論外。首相とのツーショットもご遠慮したい」と、民主党参院議員が参院選向けのポスターで悩んでいるという。民主党員の心が「小鳩」から離反する「民心離反」だそうだ。しかし首相・鳩山由紀夫は「現体制でいく」と強気の姿勢を崩さない。首相周辺は「予算が通れば支持率も上向く」と、はかない望みを託しているが、“上部構造”が変わらない限り、支持率好転はまずあり得ない。問題はまず幹事長・小沢一郎 のクビに誰が鈴をつけるのかだ。政党内の抗争には、その党独自の雰囲気がある。おおっぴらに戦いを展開する自民党のやり方を「陽」とすれば、民主党のやり方は「陰」だろう。昨年5月の民主党における「小沢代表降ろし」を分析すると、やはりこれといった決定打を打ったものは無く、じわりと包囲して真綿のように締め上げる形であった。それも世論の後押しを背景にしていく形だ。
今回も、時期といい、国政選挙を控えたタイミングといい、昨年のパターンになる可能性が大きい。昨年は3月に千葉と秋田の知事選敗退を契機として本格化、5月の辞任へとつながったのだ。小沢とのツーショットのポスター返上の動きも知事選直後から出はじめており、今回とそっくりだ。じわり包囲網は非小沢系七奉行の閣僚発言としても現れてきた。国家戦略相・仙谷由人が2月22日、「昨年の千葉、秋田両県知事選で負けたころと、状況が似通ってきた」と述べている。これはそのような状況に政局を持っていきたいとする願望の表れでもある。
国交相・前原誠司は、「幹事長・小沢一郎としての仕事は選挙がもっとも大事。どうすれば参院選挙に勝てるのか、総合的に判断するだろう」と述べたが、遠回しながら、明らかに小沢の辞任を要求した発言だ。行政刷新担当相・枝野幸男も「国民の信頼と期待を取り戻すために何が必要か、力のある政治家であれば認識を十分にされていると思うし、それを踏まえた対応をされると思う」と、これも暗に辞任の要求だ。一方束ね役の渡部恒三は「知事選にあんな大差で負けるなんて考えられない。どこかで国民が理解できるけじめを付けないと、次の参院選は勝てないだろう」と述べた。渡部の戦略は、突出を避けながらも、党内世論をじわり小沢離れに移行させるところにあるのだろう。時期的には連休後の決着を目指しているのではないか。
連休で選挙区に帰った参院選候補らは、小沢がそれまでに辞任していなければ相当の風圧を感じて戻ってくるだろう。「小沢では戦えない」の合唱が始まるのだ。おりから普天間問題の決着へむけて、鳩山自身も窮地に陥る可能性がある。連休明けの「5月の変」が十分予想される。小沢はどう対応するかだが、ここまで来ると、まず自ら幹事長で選挙戦を戦うことの利害得失を考えるだろう。幹事長で選挙をして惨敗の憂き目に遭う選択か、昨年と同様にいったん幹事長を降りるという「辞任カード」を切って、参院選挙をしのぎ、選挙後に影響力を維持するという選択のいずれかだ。動物勘の働く小沢のことだ、後者の選択に傾くのではないか。じわり小沢離れを開始した鳩山にとっても、願ってもない選択がそれだ。したがって猫の首に鈴をつけるものは最後までいなくて、結局自分で自分のクビに鈴をつけることになるのではないか。鳩山は「内閣と与党が一体となって行動することが大事だ」と閣僚の非小沢的動きをけん制するが、自分の当落がかかっている参院議員の場合、一体になればなるほど、不利となる構図であることがまだ分かっていない。
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