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2010-02-18 00:00
民主党政権は、公務員制度をどうするつもりか
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
霞ヶ関の影響力を減殺することが政治目標になっている。それ自体は結構なことだと思うし、目に余る税金の濫費(話半分としても、目を剥くような話に興味のおありの方は、あの鈴木宗男氏の『闇権力の仕掛人』の一読をお勧めする。損はしないこと請け合い)やら、天下りやらに、義憤を感じている向きには、「水に落ちた犬は、打て」という思いの方も少なくないと推察する。
しかし、今回発表された次官・局長・部長を同一格付けにして、「異動を降任扱いしない」みたいな措置を耳にすると、なんだか官僚いじめをこととしている感なしとしない。降任人事が出来ないというのは、もとはといえば、公務員に対して労働基本権を否定する見返りに、身分保障(意に反する解雇、降任などの禁止)と人事院設置を規定したことの副産物に過ぎない。この禁止規定がありながら、若干の例外を除いて、高級公務員が定年前にすんなり辞職していっているのは、「同期入省の一人が最高ポストである次官に就任したら、残りは退職する。ただし、おいしい再就職先の保証はある」という永年に亘って築かれた人事慣行の結果に過ぎない。
だから、政権政党の意に反する高官を辞めさせたければ、基本的には公務員法の適用を除外するポストを作るか、労働基本権を認めて一般労働者と同様の雇用取り扱いにするか、の二者択一しかない筈だ。後者が王道なのは言うまでもない。が、労働基本権のない筈の公務員が、それにも関わらずあれほど凄まじい労働組合の実力行使(というよりむしろ怠業)が現存している有様では、「基本権を認めたら、どうなるだろう」という危惧が一頃はあった。しかし、「禁止するから陰にこもって悪くはびこるので、認めてしまえば、世間相場に落ち着く」という見方にも、一理はある。特に労働組合を支持母体に持つ民主党であってみれば、こちらの途を選ぶのが、むしろ自然ではないかと思われるのだが。
それを、なんだか一昔前の姑の嫁いびりのようなやり方をしたのでは、第一、公務員の志気も上がるまい。「策としては、下なるもの」というべきだろう。まあ、さほどに有形無形の官僚の抵抗に手を焼いて、「人事権のダンビラを振りかざそう。伝家の宝刀を抜くつもりはないのだ」というのが本意だ、とする見方も可能ではある。しかし政権政党たるもの、権道を採用すべきではあるまい。高級公務員といわゆるノンキャリとの反目につけ込んで、支持母体の労働組合の歓心を買う、などということでは、万が一にもないとは思うが、これが論外なのは言うまでもない。
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