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2010-02-05 00:00
「小沢批判」高まる新聞論調
杉浦 正章
政治評論家
さすがにマスコミには、「限りなくクロ」に近い幹事長・小沢一郎を擁護する論調は一切ない。全国紙各紙は、社説と署名入り記事で、小沢とこれをかばう首相・鳩山由紀夫の批判を展開している。かつて佐川急便事件で検察が金丸信を在宅起訴にとどめ、世論のごうごうたる批判が生じたケースと酷似している。署名記事では、朝日新聞が「国民を裏切り続けるべきでない」、読売が「国民を愚弄」と最大限のの表現で小沢批判を展開している。鳩山に対しても「自らの保身のための小沢擁護」という論調が定着している。「世論待ち」の野党と民主党内反小沢勢力が勢いづくには十分だ。
まず全国紙の社説だが、朝日が「このまま続投は通らない」と小沢の幹事長辞任を正面から要求している。読売も「重大な政治責任は免れない」で、毎日の「政治的責任は免れない」と一致し、ともに辞任を要求している。とりわけ朝日の論調には、政権交代への幻滅感が色濃くにじみ出ている。社説では「このままでは、政権交代そのものへの幻滅さえ招きかねない。政治改革の進展も、それを通じた民主主義の前進も台無しになりかねない」と、一時期の民主党礼賛型社説が様変わりした。政治エディター・薬師寺克行も「巨額の資金が絡む『闇』を持つ政治家が、政権の幹事長として国政を左右するのでは、まともな民主主義国家とは言えない」と民主党を切り捨て、「それ以上に深刻なのは、民主党が政権交代に対する国民の期待感をあっという間につぶした」ことだと断じている。たしかに小沢続投は「あっという間」に政権交代への期待をを幻滅の領域に持ち込んだのだ。
読売は、社会部長・溝口烈が「帳尻さえ合っていれば虚偽を記載しても構わないという姿勢は、政治資金規正法の趣旨を踏みにじり、国民を愚弄するものだ」と批判した。同社社説は、鳩山の政治姿勢に言及して、「首相は以前、『秘書の犯罪は議員の責任』『私なら議員バッジを外す』と明言し、自民党議員らを追及していた。今回、小沢氏の責任を問えないのは、偽装献金事件での自らの責任にはね返るからと見られても仕方がない」と分析している。確かに鳩山の小沢擁護は、自らの保身を兼ねているに違いない。
小沢を国会に参考人招致する問題について、毎日は、「小沢氏が今も説明責任を果たしていないのは明らかであり、野党が求めている国会での参考人招致などにも進んで応じるべきだろう」と、野党の方針を支持している。読売も「野党の求める国会招致に応じ、疑問に丁寧に答るべきだ」、朝日も「国会の場で堂々と疑問に答えよ」と一致している。これは小沢の参考人招致や証人喚問を要求する野党に追い風となるものであり、政治の自浄能力を問われるものにほかならない。民主党が拒み続ければ、手痛い反発を招くだろう。朝日の社説は「検察も時代に対応すべきだ」と不起訴の「説明責任」を求めており、編集委員・星浩もテレビで「検事総長の説明」を求めた。
注目すべきは、各紙一致して社説などで検察審査会による検察の処分見直しに期待していることだ。検察が立件しなかった事件は、同審査会の2回の議決で、起訴と同等の公判が開かれる。このように「小沢不起訴・続投」はまさに世論の総力を挙げた批判を惹起(じゃっき)させた。冒頭触れたように1992年に佐川急便事件の前自民党副総裁・金丸信の取扱いが、略式起訴でいったん決着したものの、世論の批判がやまず、結局脱税容疑での逮捕につながったケースが思い起こされる。マスコミの強い正義感が根底にあり、日本の民主主義にとって何よりの問題提起となっている。この論調がもたらすものは、内閣支持率の急落と、既に7、8割に達している小沢辞任要求の高まりだろう。政局は参院選前までに何がおきてもおかしくない状況に突入する。政権にとってまさに一寸先は闇となる。鳩山・小沢コンビによる中央突破作戦は当面、歳時記に言う「春泥」(春のぬかるみ)に足を取られ続けることになろう。
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