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2010-02-04 00:00
(連載)日米同盟の矛盾に挑戦(2)
若林 秀樹
元参議院議員
2番目は「核密約」等に関わる長年の矛盾点である。日米同盟によって米国の世界戦略に巻き込まれるような可能性を排除する仕組みは、日本にとって必要であるが、「核密約」の存在等により、鳩山政権は苦しい対応を迫られている。日本の意志に反したアメリカの行動を支援するか否かは、主権国家である日本の判断すべき問題である。その点について条約上は、「自国の憲法上の手続きにしたがって共通の危険に対処するように行動する」とあり、アメリカにとっても、自動的にアジアの戦争に巻き込まれないようにするための仕掛けがある。
問題になっている「非核三原則」も、巻き込まれる不安を和らげるための措置であったが、「核密約」の存在がほぼ露呈し、過去の矛盾した対応が明らかになった。日本は「米国の核の傘」による抑止力で日本を守って欲しいという意志を持ちながら、他方で非核3原則を掲げて、米国の核持ち込みを禁じているのは、安保政策の矛盾であり、この点についてどう折り合いをつけるのか。いつまでも、2つの顔を使い分けるには限界がある。
最後は、同盟を強化すればするほど、同盟が想定している仮想敵国を刺激する側面である。当面想定される国は、中国と北朝鮮であるが、この点について日米同盟は、日本の軍事的台頭を抑えると共に、アジア・太平洋地域の平和維持にも寄与している役割がある。中国や韓国からも、日米同盟の亀裂を危惧する声すら聞こえてくる。鳩山政権は、日米同盟を強化しすぎて中国等を刺激したくない配慮があるのかもしれないが、日米関係が良くなければ、日中関係も良くならない。日本が中国に擦り寄れば、日本の安全保障が保たれると思うほど、国際関係は甘くないのである。
日米同盟は、もともと対等な関係にあり、法的にも主従関係ではない。しかし、日本は自国の安全保障を主体的に考えず、実態として主従関係にならざるを得ない状況を放置してきたのである。日本が日米安保条約の廃棄を望むのであれば、米軍はすぐにでも撤退するであろう。問題はそのことを日本が望むかである。この安保改定50周年を契機に、日本の長期的な利益に照らし合わせ、どのような安保体制や国際関係の下で日本の国益や安全保障が保たれるのか、その原点に立ち返って考える機会にすべきである。鳩山首相の強いリーダーシップを求めたい。(おわり)
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