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2010-01-28 00:00
小沢「黒人差別」発言が日米関係に影
杉浦 正章
政治評論家
政治家発言の言葉尻を大げさに捉えるのは嫌いだが、「オバマさんという黒人を選んでまで」と言ったのは、根底にやはり抜きがたい人種的偏見があるのだろう。民主党幹事長・小沢一郎の失言は、米AP通信などが直ちにキャリーして世界中に伝わった。米国では上院議員のより遠回しな失言でも、野党から辞任要求が出ている。民主党政権の事実上のトップの発言が、首相・鳩山由紀夫の脱米姿勢でぎくしゃくしている日米関係に影を落とすことは否めまい。毎日、産経、共同、時事が伝えているのに朝日と読売は13版現在では特オチだ。
小沢発言は沖縄訪問中に飛び出した。27日夜の那覇市内の会合で、各国の政権交代事情を紹介する中でオバマ米大統領誕生に触れ、「米国はオバマさんという黒人を選んでまで、世の中を変えよう、国を変えよう、と国民が選択した」と発言したのだ。意図はチェンジの流れを強調しようとしたのだろうが、言い訳は利かない。人種差別感が根底にあるからだ。AP通信は小沢発言について、「チェンジの例として強調したのだろうが、小沢をより困難な立場に置くだろう」とコメントしている。
各国首脳のこの種の発言の例としては、イタリア首相ベルルスコーニのオバマ当選時の「日焼けしている」発言や、最近の「私は彼より青白い。長い間、日光浴をしていないからだ」発言がある。ベルルスコーニは本人が病的失言癖を持っているからさておいて、米国では最近上院院内総務ハリー・リードの失言が問題になった。オバマについて「アフリカ系米国人だが、肌の色も薄く、ニグロ(黒人への差別表現)のなまりもない」と述べたのだ。野党・共和党から人種差別的だとして辞任要求が出たほどだ。リードは発言内容を否定せず、オバマに謝罪している。
小沢もイタリア首相に負けず劣らずの失言癖を持つ。キリスト教について「排他的で、独善的な宗教だ」と述べ、日本キリスト教連合会から抗議を受けている。天皇の政治利用も記者団に「君は日本国憲法を読んだか。天皇の行為は何と書いてある」とすごんだが、憲法には何にも書いてなかった。天皇の国事行為は外国賓客の接遇に触れていないたのだ。一知半解のはったりで生きていると大恥をかく。日本の新聞には余り取り上げられていないが、昨年12月の訪韓ではソウルの国民大学における講演後の対話集会で「日本人の若者は漠然と他人に寄生し、寄生虫として生きている、とんでもない害虫だ」「日本人はもともと民度が劣るから、君達韓国人のような優秀な民族の血を日本人に入れない限り、他人やアジアに寄生して生きる害虫日本人が増えるだけだ」と驚天動地の発言をしたと言われている。
ネットの反響は恐ろしいほどで、小沢発言を英訳して米政府に送れと言う書き込みがあちこちに見られる。いまやウエブ上でまず論議が拡大、伝搬する時代となった。中にはウイットのある書き込みもある。「日本は小沢と言う腹黒い男を選んでまで、世の中を変えようと選択したが、失敗だった」である。鳩山といい、小沢といい政権首脳の発言の軽さはいかんともしがたい。
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