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2010-01-25 00:00
小沢の進退の終着駅は“辞任”
杉浦 正章
政治評論家
「進むも地獄退くも地獄」の言葉は今の民主党幹事長・小沢一郎のためにあるようなものだ。本人は懸命に前進しようとしているが、楚の武将・項羽の自刃直前の「騅(すい=愛馬の名)逝かず騅の逝かざる如何にすべき」になりつつある。検察が立件への自信を持たぬまま事情聴取をするわけがない。ここで検察が負ければ報復人事で10年は立ち上がれまい。もはや衆院議員・石川知裕逮捕を許可した検事総長以下決死の背水の陣だ。進退窮まりつつあるのになぜ、小沢は地位にこだわり続けるのか。そこには“保身”があって“党”がない。辞任しなければ“野垂れ死に”の選択肢しかなくなりつつあるのが分からない。
わずか4カ月で、首相と幹事長に抜き差しならぬ疑惑が降りかかるとは誰が予想しただろうか。筆者が政治記者の本能で「槿花一朝の夢」と書いて、わずかにかすっただけだ。小沢はまさに窮地と言って良い。政権政党の幹事長が事情聴取を受けるという戦後例のない事件。それに先だって3人の秘書が逮捕されるという現実。検察、世論、国会の“巻狩”を受けて追い詰められた獣が、あえぎならが逃げるすきをうかがっている状況だ。これまでの自民党政権下であれば、反主流の猛攻で、幹事長職にはとても留まっていられないだろう。民主党は小沢がとどまればとどまるほど、国民の期待した姿から遠ざかる。小沢は幹事長職に何故留まるのか。果たして留まりきれるのか。
地位にこだわる最大の理由は保身にある。たとえ政治資金不実記載の共犯として立件されても禁固5年以下の実刑があり得る。まずここから逃げようとしている。小沢が発表した「経緯説明」をみれば、収賄の疑いのある事件の典型例が見られる。秘書のやったことは「関与しておらず、分からない」に徹している。トカゲのしっぽ切りをして逃れる。この基本戦略が明確だ。そのためには党内の応援が不可欠だ。自らの検察批判のアジ演説や、裏からの“操縦”で、党内を「反検察」に凝り固まらせる必要があるのだ。辞めたら党内は一挙に離反する。ロッキード事件の時の田中角栄は、10年戦争を目指していたが、おそらく小沢はその長期戦を狙っているのだろうか。田中は首相を辞めた以後も自派の勢力を増大し続けたが、力で押さえつけてきた小沢にはとても田中並みの人望はない。闇将軍になろうとしてもなれないのだ。
もともと民主党は右から左までを含めた寄り合い所帯、加えてチルドレン150人は、かき集めの烏合(うごう)の衆だ。それが小沢の一点でまとまっているのだ。幹事長を辞任した場合、この寄り合い所帯がばらけてしまう可能性がある。幹事長辞任となれば野党は当然議員辞職まで追い込もうとするだろう。求心力が失せて遠心力が働く。民主党は遠心分離器にかけられる。仕掛けがあれば再編への動きが生じかねない側面がある。“小沢逮捕・立件”はそれほどの流動性を政界にもたらし得るのだ。
それでは逃げ切れるのだろうか。今後の展開は小沢にとってすさまじい。立件へ本気の検察は今後2度3度の事情聴取を行うだろう。23日の聴取はジャブ程度と見た方がよい。水谷建設の供述など決定的な証拠をぶつけるのはまだ先だ。秘書の逮捕拘留期限が切れる2月4日には秘書の起訴が間違いなく行われる。それまでに秘書3人のうち1人2人が“落ちる”かもしれない。だいたい小沢自身が銀行からの4億円の借入れにサインをしていることが致命傷だ。現金で4億渡した直後にである。共同謀議でないなら秘書に「何で借りるんだ」と聞かないはずはない。国会では集中審議が行われる。野党の参考人聴取や証人喚問要求の筆頭に小沢が挙げられるのは確実だ。そして支持率が確実に急落する。「またまたお騒がせ」と落語家を真似て登場しても、会場はもう笑ってくれない。ヤジが飛ぶ。選挙に生きようとしても、もう追い風は吹かない。小沢はひしひしと自らの置かれた立場を実感することになる。よほど強靱(きょうじん)な精神力を持ってしても耐え切れまい。辞任が遅れれば遅れるほど“野垂れ死に”路線にあることに気付かざるを得ないだろう。自民党にとって見れば小沢続投ほど有り難いことはない。息を吹き返すチャンスをもらっているようなものだ。辞任が遅れるほど参院選挙には有利だ。
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