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2010-01-21 00:00
イラクの沈静化の兆しとアフガンの再流動化
石川 純一
フリージャーナリスト
私は昨年末、2003年3月に開始されたイラク戦争の米軍将兵戦死者が、09年12月22日の段階で4370人に達したという記事を書いた。が、新年早々、イラク駐留米軍のオディエルノ司令官は、駐留米軍将兵に昨年12月は戦死者が出なかったことを公表した。開戦以来、月間の敵対的軍事行動による死者数が零になったのは初めてのことであり、米紙ワシントン・ポスト(電子版)などが報じた。なお、非敵対的軍事行動による死者はいたという。イラクでは、2年前は1日当たり200件の攻撃があったが、現在は1日当たり15件に激減。米国防総省は既に、駐留米軍の規模を現在の約11万人から8月末までに5万人に減らす計画を発表しており、とりわけ、戦闘部隊は11年末までに完全撤退する方針だ。同省によると、昨年12月5日時点の集計で、イラクの年間米兵死者数は145人と前年08年から半減し、ピーク時の約6分の1となった。
「テロとの戦い」完遂をスローガンに登場したオバマ米政権は、イラク戦争の「戦後処理」を急ぎ、新生イラク政府軍、警察部隊に一刻でも早く治安権限を完全移行したい考えである。テロ対策の軸足をアフガンに移すのが眼目だが、アフガンの08年の年間米兵死者数は08年の約2倍に当たる約300人と急増、過去最悪となっている。この点に関し、オバマ大統領は12月2日午前(日本時間)、ウエストポイントの陸軍士官学校で「アフガン駐留米軍を3万以上増派する」と正式発表した。増派の規模が3万以上に上ることは、ホワイトハウス当局者がこれまでにリークしていたが、同大統領自らの口から公にされたのは初めてである。アフガン駐留米軍の規模は現在6万8000人。したがって、1.5倍もの大増派である。撤退開始時期は11年7月。それまでは、アフガン駐留米軍は10万人という態勢になるわけだ。
そのアフガンだが、イラクが漸次沈静化の兆しを見せ始めた中で、確かに再び流動化し始めているのは間違いないようだ。年も押し迫った昨年12月30日には、東部ホスト州にある米軍基地で自爆テロが発生し、米中央情報局(CIA)要員とアブドラ・ヨルダン国王のいとこ、シャリフ・アリ・ビンゼイド・ヨルダン国軍大尉が死亡した。実行犯は、国際テロ組織アルカイダ、タリバンの2重スパイだったヨルダン人医師フマン・カリル・アブムラル・バラウィ容器者と特定された。複数のイスラム系サイトは6日、アルカイダのナンバー3でアフガンにおけるテロ作戦を統括するムスタファ・アブ・ヤジド司令官による上記の自爆テロに関する犯行声明を掲載したが、パキスタン・タリバン運動(TTP)のベイトラ・メスード司令官が昨年8月ミサイル攻撃で死亡したことに対する報復であると、犯行理由を述べている。
さらに、アルカイダがアフガンとともに、イエメンにおいても活動を強化している。米国では昨年12月25日のクリスマス当日、米デルタ航空傘下のノースウエスト航空機の爆破未遂事件が起きており、航空機警備の不手際が指摘されるとともに、取り押さえられた実行犯が、爆発物をアルカイダから受け取ったことが明らかとなった。アルカイダの犯行声明では、イエメンにおける米軍のアルカイダ攻撃に対する報復とされる。
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