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2010-01-19 00:00
(連載)日米安保改定50周年、新たな日米関係を築く節目に(2)
若林 秀樹
元参議院議員
そして今、日米両国は、自由と民主主義、市場経済、法の支配、人間の尊厳及び人権といった普遍的価値観を共有した先進国であり、だからこそ成熟した同盟関係を一層強化し、世界における共通する脅威に対処すべきであるという説明がよくなされる。つまり日米は、戦争では戦ったけれど、価値観は一緒で似たもの同士だから、協力して仲良くやろうよ、という考えが前提にあるらしい。この考え方は安倍晋三元首相が唱えた価値観外交にも通じるところがあり、価値観の違う独裁・軍事国家や覇権を唱える国と一線を画し、ややもするとこれらの国に対して民主化等を迫るやや高圧的な外交になりかねない。ブッシュ政権も、民主主義を旗印に米国側に就くのかどうか、色分けした外交を展開し、結果としてイスラム圏諸国等と不必要な対立を招いた。
共有する価値観に基づく日米関係は、一見もっともらしい理由付けなのだが、一口に同じ価値観と言っても様々な違いがある。むしろお互いの価値観には違いがあり、多様な価値観を認める外交の展開が必要ではないだろうか。曖昧模糊とした「価値観」の色分けで国際関係を考えると、大きな間違いの元になりかねない。判断すべき基準は「国際ルール」と「国益」である。例えば日米は普遍的価値観を共有すると言っても、育まれてきた長い歴史、文化、宗教観、地理的条件、自然環境、政治、社会・経済構造等に大きな違いがあり、結果として個々人の価値観を形成する物事に対する捉え方は、様々な点で大きな相違が存在していると思っている。むしろ世界中で日米ほど、国のかたちや価値観の違う国はなく、その違いを鑑みて物事を進めていかないと、大変な誤解や摩擦を生じやすい関係にあると見たほうがよい。今の普天間基地の問題も、日米は同盟関係にあるから、同じ価値観を共有しているから、合意通りに実施するのは当然であると、米側が高圧的に押し付けることは望ましくない。お互いの立場の違い、抱えている事情を考慮する余裕を持って欲しい。
21世紀初頭の今、外交も米ソ冷戦時代から、新興国が台頭する多極化の時代に入り、日米安保を取り巻く環境も大きく変わろうとしている。何となく価値観が同じだから、アメリカが言うことだからではなく、世界と調和の取れた日本の国益確保の為に、アメリカと如何に付き合い、新たな関係を如何に築きあげるべきなのか、2010年は、普天間基地問題を解決して日米関係が改善し、日本にとって今後の外交・安全保障政策、そして新たな日米関係を考える節目の年になることを切に願うものである。(おわり)
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