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2009-12-25 00:00
(連載)普天間基地問題と外交(1)
湯下 博之
杏林大学客員教授
普天間基地の移設問題をめぐって日米関係が大きく揺れている。日米同盟と言われる緊密な日米関係の根底をくつがえしかねないような深刻な問題となっており、国民として、政府のお手並み拝見といった他人事では済まされない問題となっている。この問題をめぐる動きを見ていると、外交というものについて、種々考えさせられてしまう。
第一に、外交における一国の政治指導者の考え方や行動、及び外国の政治指導者との間の関係の重要性についてである。かつて、小泉首相時代に、日米関係は極めて良好であったが、それは、小泉首相が米国のブッシュ大統領との間に極めて良好な個人的信頼関係を築いていたことによるところが大きかった。他方、その小泉首相が靖国神社参拝をやめなかったことにより、中国や韓国の指導者との関係は疎遠になり、日本と両国との政治関係は冷却した。今回も、問題の中心は、鳩山首相の考え方がはっきりしないことや、言動が揺れ動いたために、米国の指導者との関係がしっくり行かず、信頼関係が失われつつあるとまで言われていることである。
第二に、外交における信頼関係の重要性についてである。外交はだまし合いであると考えたり、言ったりする人がいるが、それは敵対国間についてのことであって、友好国間においてはそうではない。敵対国といえども、関係改善を図る段階になれば、信頼関係を醸成しなければ、うまく行かない。今回の問題で最も深刻なのは、鳩山首相の上記の態度が災いして、米国指導者達の間で日本の指導者に対する信頼が失われつつあると伝えられることである。筋の通った議論をするのはよいが、不審を招くような言動は厳に避ける必要がある。
第三に、外交と内政の関係で、内政を優先させることの問題についてである。外交は内政を離れては行い得ず、内政を無視して外交を行うことが出来ないのは、事実である。各国共、内政上の理由で外交上好ましくないことをする例はあるが、多くの場合、その結果として、大きな問題や禍根を残している。内政と外交をすり合わせる策が最上であるが、それが出来ない場合は、よくよく考えて、種々手を打ちながら行動することが大切であり、単純な選択の問題とすべきではない。
これに関連して、普天間基地移設問題に関して「民意」を尊重するということが言われるが、ここでいう「民意」が基地に関係する地域の人達の意向ということであるなら、問題である。何故なら、地元に基地が設置されることに反対するのは日本中どこでも同じであり、このことは、ゴミ焼却場の設置と同じ問題である。なくては生活が成り立たないが、自分の住んでいる区域に設置することには反対という意見は自然なものである。しかし、どこかに作られなければならない。では、どこに作るかという問題である。因みに、在日米軍基地が沖縄に集中している問題は検討を要するが、この問題と日米間で既に合意済みの移設の実施とは分けて考えないと、道を誤ることになる。(つづく)
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