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2009-12-16 00:00
米ロ戦略兵器削減条約(1991)の失効
茂田 宏
元在イスラエル大使
1991年の戦略兵器削減条約(START)は本年12月5日に失効した。米ロは後継条約を締結するために交渉してきたし、今も鋭意交渉中である。オバマ大統領がノーベル平和賞受賞のために欧州に行く機会をとらえて、後継条約の署名式をアイスランドのレイキャビック(1986年のレーガン・ゴルバチョフ会談の場所)、ジュネーブ(現在の交渉地)、またはヘルシンキのいずれかで行うことが取り沙汰されていたが、条約交渉はこれには間に合わなかった。
問題点の現状は、正式な発表はないが、各種報道を総合すると、ほぼ次の通りである。
(1) 弾頭数:7月のオバマ・メドヴェジェフ合意通り、1500-1675の間(現在は2200)
(2) 運搬手段:800以下(ロシア側はより低い数字を主張)
(3) 検証手段:ロシア側がこれまでの条約の検証規定が広範にすぎると主張、米側が適切な検証体制を求め、対立。ただしロシアのミサイル「トーポルM」の製造工場への米査察官の常駐は廃止。
(4) 新条約は米では上院により承認、またロシアでも議会の承認が必要なため、発効まで時間がかかる。それでつなぎの合意を作る必要があるが、それについては原則合意。
米国では,検証規定が弱くなることに懸念を表明する向きがあるほか、米は弾道ミサイルに通常兵器を搭載し、長距離攻撃力としているが、「弾道ミサイルは核も搭載可能であるとして、制限数に組み込まれると、米軍事力の劣化になる」という懸念を表明する人がいる。
ロシア側の要求を受け入れ過ぎた場合、この条約の上院での審議はそう簡単には行かない可能性がある。ロシア側は経済状況その他の理由により、多数の運搬手段や弾頭を保有する余裕がないなかで、ロシアが保有しうるレベルまで米の核戦力を引き下げることを交渉の目的としてきたとされる。したがって、この条約の失効で核軍拡競争になる危険は、当面ない。
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