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2009-12-09 00:00
(連載)日米関係を決める米中関係の深まり(1)
若林 秀樹
元参議院議員
日本、中国等のアジア歴訪を終え帰国したオバマ大統領は、間髪を入れずに今度はホワイトハウスにて、訪問できなかったインドのシン首相を政権初の国賓として向かえ、米印首脳会談を行った。アジアの同盟国である日本と韓国、そして新興国として影響力を増している中国やインド等との距離感を適切に測り、それぞれの国に配慮した、したたかな米国の外交戦略が展開され始めたと言えよう。
しかしその中でも、改めて突出した米中の「蜜月時代」の深まりを感じない訳にはいかない。今回のオバマ大統領の中国訪問では、12年ぶりに共同声明を発表し、両国が今後、「戦略的信頼」を構築、進化させると宣言。気候変動や核廃絶など地球規模の課題解決に米中が主導的な役割を果たしていくことを明確にした。米中G2時代の到来を感じさせるオバマ大統領の中国訪問であった。
米中の間の関係は、米国独立直後の1784年、商船エンプレス・オブ・チャイナ号が広東にたどり着き、通商交易が始まった頃に遡ることができる。1853年ペリーが浦賀に来航するはるか前であり、明治維新よりも80年以上前から米中の関係は始まっていたのである。そしてその関係は今日まで、常に「対立と融和」を繰り返してきた。第二次世界大戦で米中は、同盟国として共に日本と戦い、朝鮮戦争では一転して両国が戦火を交えた。ベトナム戦争でも両国は大軍を現地に送り込んで一触即発の状態に陥る。また米国の台湾国民党政権への支援も米中の対立を激化させた。しかし大きな転機は、1969年「反共産主義者」として登場したニクソン大統領が、キッシンジャー補佐官を極秘訪中させたときに、訪れた。そして自ら1972年に訪中して米中和解が実現したのである。
以降の米国大統領は、選挙期間中から就任時にかけては中国に対して厳しい姿勢を見せながら、1、2年後に必ずと言って良いほど、対中融和策に転換している。つまり選挙中は選挙戦略の一環として大国である中国に対して毅然とした姿勢を国民に見せる必要がある。民主党としては、人権や民主化の問題、共和党としては、安全保障上の脅威等を中心に、言い方は違っても厳しい姿勢で選挙戦に臨む。しかし一旦大統領に就任すると、対立するコストよりも、戦略的に協調する方が米国の国益にかなうという方針に転換し、今日まで一本の長い、底辺で結びついた米中関係の路線が築かれてきたのである。(つづく)
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