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2009-12-08 00:00
お坊ちゃん・鳩山には荷が重すぎる
杉浦正章
政治評論家
やり手爺さん(亀井静香)が門前で大声を上げれば、蹴鞠(けまり)をしていた公家の坊ちゃん(鳩山由紀夫)が「おじゃる、おじゃる」でなく「おっしゃる、おっしゃる」とうろたえる。口から生まれた井戸端やり手婆さん(福島みずほ)が「出て行くわよ」とすごめば、「お引き留め申し上げる」とすがりつく。オロオロするばかりのやんごとなきお方が、痩せても枯れても世界第2の経済大国のかじを取っている。海の向こうからは「信用してくれ、と言っただろう」と借用証文の取り立てが厳しい。おたあさま(御母様)からの秘密のお手当11億円を「ボク知らな~い」「おっどろいた~」で逃げ切れると思っている。この連立公家政権は小泉純一郎ではないが、「持つのかな」と思えてきたのである。
連立といっても、社民党は衆参で12人、国民新党は8人の超ミニ政党である。海千山千のやり手爺さんも、やり手婆さんも、最初は借りてきた猫のように大人しかった。それがいったん要求が通り始めると知ると、その確保した地歩からさらに過大な要求を繰り返すようになる。それが政治の世界だ。亀井は郵政法案、モラトリアム法案で言い分が通ったとみるや、こんどは第2次補正予算案でごねまくったあげく、「私が政府だ」と宣(のたもう)た。一方でお坊ちゃまのご機嫌を取ることも忘れない。焦点の普天間移設問題で「来年の参院選挙後でいい」とくすぐりをかけ、ばかなお坊ちゃまはこれにすぐ乗る。やり手爺はうまいものだ。
猫も殺さぬ顔をしたばりばりの反米社会主義者・みずほ婆さんは、普天間移転で「重大決意」と言ったとたんに、おぼっちゃまがよろよろと倒れそうになったのを見て、「しめた」と思ったのだ。みずほは、はっきり普天間移転反対で言動をを顕わにし始めた。今は世界中でも珍しい反米社会主義者の本性を、山姥(やまんば)のように現し始めたのだ。山姥の研ぐ出刃包丁は怖いのだ。お坊ちゃまは、やり手爺とやりて婆にいいように操られて行く。カネに不自由なく「蝶よ、花よ」と育てられると、恐らく人間というのはこうなるのだろう。自分というものがない。「アメリカも、社民党も、沖縄県民も、みんな大事だよね」と言ってくれても、小学生でも「わかってら~い」と言うだろう。
一方で、野武士の親方のような小沢一郎も、政治のプロだから「お坊ちゃまじゃあ、持つかな」と思い始めたに違いない。「数はあるから、差し替えればいいや」、これが小沢政治だ。しかし、通常国会前に連立が壊れるのだけは避けたい。なぜなら面倒くさいからだ。「面倒くさ政治」、これが小沢政治の本性でもあるのだ。数さえあれば、臨時国会でやったように、いつでも強行採決できる。数がないと、あの手この手を使わなければならないから、面倒くさいのだ。心臓病の小沢は、速戦即決でないと体が持たないのだ。だから参院選で過半数をとって、本当はやり手爺とやり手婆に「出て行け」と言いたいのだが、いまはじっと我慢しているのだ。だからお坊ちゃま政権は、辛うじて維持されているのだ。
思案にくれたお坊ちゃまは、知己でもない外国の指導者にまですがりついた。元ソ連大統領のゴルバチョフに「マスコミなどから批判されている」と弱音を吐いたのだ。本物の百戦錬磨のゴルバチョフからみれば、「なんだ、こりゃ。日本の指導者はこんなにヤワか」と言いたいところをぐっとこらえて、紳士的に「それに耐えていくのが、指導者の務め。耐えなさい」と言ったのだ。「耐えよ」と言われても、これからは分からんのだ。年末にかけて普天間決断、鳩山献金疑惑、来年度予算の年内編成と超ど級大地震が連続して起きる。お坊ちゃまでは、誰が見ても荷が重すぎるのだ。政権発足100日もたたないのに、状況は行き詰まり状態であるのだ。師走の闇は濃い。一寸先は闇なのだ。
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