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2009-11-20 00:00
鳩山政権の能力に疑念:普天間問題での迷走
茂田 宏
元在イスラエル大使
鳩山内閣は、普天間移転問題について態度を決めかね、ずるずると決定を先延ばししている。米側は、新政権が普天間飛行場の名護市沖合への移転の合意の成立過程を検証するという立場を理解し、閣僚級作業部会で検証の作業を行うことに同意した。新政権に配慮はしているが、米側はこの合意が結局は実施されることを前提としている。ところが、鳩山総理は「合意の実施は前提ではない」と述べている。同盟は相互の信頼なくして十分に機能しない。信頼のレベルはいろいろあるが、「約束は守る」「合意は尊重する」というのが信頼関係維持のためには最低限必要である。
しかるに鳩山内閣は、そのもっとも基本的なことを守っていない。早く是正しないと、日本国の信用を傷つけ、日本の安全保障の要である日米同盟を弱めてしまうだろう。1996年に橋本首相とモンデール大使が共同記者会見をして普天間移転を発表した。普天間基地がそのままでは騒音被害も大きく、事故でもあれば地域住民に危険であるとの観点から、日本側が強く米側に移転を求め、クリントン大統領の決断により実現することになった。しかしその後、代替施設を巡りもめ続け、紆余曲折を経て、2006年に沖縄の名護市のキャンプ・シュワブ沖にV字型滑走路をもつ飛行場建設ということで、日本の外務・防衛両大臣と米国の国務・国防両長官の会合である「2+2」で合意された。
その際には、グアムへの8000人の海兵隊員の移転や、他の基地の縮小や移転も米軍再編の一環として合意された。普天間の移転合意その他は、沖縄の負担の軽減をも念頭においてなされたものである。鳩山内閣がこの問題の決着を引き延ばすと、沖縄の負担は今後とも継続することになる。普天間は移転せず現状のまま、グアムへの海兵隊移転や沖縄の他の基地の縮小もご破算になりかねない。米国議会でグアム移転経費の予算計上は行われなくなるだろう。名護市沖合以外に移転先が見つかるかと言えば、その可能性はほとんどない。嘉手納統合案や県外移設は、言うは易いが、その実現は至難である。
民主党政権が他の適切な代替地を見つけ、そこで地元を説得して受け入れさせられるとは、とても思えない。結果として、沖縄県民の重い負担はそのままになる。物事には、ぐずぐずしている間に問題自体が改善される場合もあるが、普天間問題はそういう問題ではない。橋本・モンデール合意前に逆戻りしかねない。鳩山内閣は、成立後まだそう時間が経っているわけではない。しかし普天間問題での迷走ぶりは、日本の安全保障をきちんと守っていくこの政権の能力について、疑念を惹き起こす。国際関係での合意の重さ、防衛問題の重要さへの意識が、足りない嫌いがある。
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