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2009-11-19 00:00
すったもんだの末にようやくカルザイ再選のアフガン大統領選
石川 純一
フリージャーナリスト
オバマ米政権が対テロ戦争の軸足をイラクから移すと公言しているアフガン。アフガン中央政府の民生向上・治安回復策が奏功するかどうかが焦眉の課題となっているが、果たしてどうか。そのアフガンでカルザイ大統領が再選された。同国選管が11月2日、この11月7日に予定されていた大統領選決選投票の中止を発表、カルザイ大統領の再選が決まった。8月20日に投票の行われたアフガン大統領選で同国選管は9月16日、カルザイ現大統領が54.6%を得票し、決選投票を待たずに当選が決まる過半数を制したと公表した。選管によると、有効投票566万2758票のうち、カルザイ氏は309万3256票(得票率54.6%)、2位のアブドラ前外相は157万1581票(同27.8%)、3位のバシャルドスト元計画相は52万627票(同9.2%)であった。
これに対し、有力対立候補だったアブドラ前外相は、投票で大幅な不正が行われたと抗議し、選管も一部これを認めて、決選投票を準備中だった。が、アブドラ氏は11月1日になって、公正な投票を求める自身の要求を満たしていないとして、アフガン中央政府を非難し、決選投票に参加しない意向を表明した。結局、決選投票を実施しても、候補者はカルザイ氏1人だけで、実施した場合の費用や治安上のリスクに見合わないということから中止に至った。
要するに、灰色どころか限りなく黒に近い不正が行われたことは事実だが、カルザイ、アブドラ両氏とも、何とかメンツを保って矛を収め、これ以上混乱を長引かせて反政府勢力タリバン側を勢い付かせてはならないという思惑が、双方に働いたということだろう。オバマ大統領は早速カルザイ氏に再選の祝意を伝えたが、その中で改めて汚職撲滅の釘を刺さざるを得なかった。
首都カブールでは10月28日、国連のゲストハウスにタリバンの武装分子が侵入し、政府軍との間で銃撃戦となり、6人の国連職員が死亡、さらには、大統領宮殿付近のセレナホテルに向けて複数のロケット弾が発射され、宿泊客100人以上が地下に緊急避難する事件も勃発した。タリバン側は、もし決選投票が行われれば、必ずこれを妨害すると脅迫していた。さらに、カルザイ、アブドラ両候補の一騎打ちはさらなる政治的混乱を起こし、国内を一層不安定化させる可能性があるとの懸念もあった。最大民族パシュトゥン人であるカルザイ氏の優勢は揺るがないとみられるが、第2民族タジク人のアブドラ氏に「3位のハザラ人が支援に回る」(アブドラ陣営)との見方すらあった。まあ、すべてをうやむやにしてのアブドラ氏決戦投票ボイコット、決選投票中止、そしてカルザイ氏再選だったといえる。
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