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2009-11-19 00:00
鳩山の党首討論見送りは、背後に心理的重圧
杉浦正章
政治評論家
近ごろテレビに出てくる首相・鳩山由紀夫は、眼の焦点が合わずに、おどおどしているように見える。首相デビュー当時のさっそうとした感じが消えた。党首討論から逃げるのもそうした心理的な理由があるのだろう。党首討論しない理由として、「全閣僚が出席できない」(国対関係者)「やるやらないは、官邸が決める問題ではない」(官房長官・平野博文)と述べているが、はっきり言って、後付けのでたらめな理由だ。党首討論は、首相がやると言えばやれるのである。官邸がまず決めれば、いつでも実現可能だ。首相は心理的に相当追い込まれてきているように見える。討論は11月18日に予定されていたが、自民党総裁・谷垣禎一が自転車でずっこける前から中止が決まっていたのであり、首相の強い意向が「したくない」の“逃げ”にこりかたまっているのだ。
鳩山は幹事長室で、気を許したのか「官邸と公邸は歩いて3分だから息が詰まる」と述べた。就任早々も同様の発言を繰り返している。常に「息が詰まる」と思っているとすれば、重任に圧迫されつつあるのではないかと疑いたくなる。最近の首相発言の変節ぶりは、眼に余るものがある。心理状態が大丈夫かと思いたくなる。大統領・オバマとの会談で普天間基地移転問題を「私を信じて欲しい」とまで表現した。「trust me」に対してオバマの「ok」は誰が見ても「合意」である。それを翌日ひっくり返して「背信行為」と野党から批判される。閣僚との意見の食い違いも顕著だ。普天間の齟齬(そご)に加えて、今度はOECDから批判された子供手当について、財務相が所得制限に前向き発言したのに対して、「所得制限は設けないのが基本理念」と打ち消す。自分の発言の重みに全く気づいていない。
そして鳩山への最大の心理的圧迫要因が、「故人献金」に代表される献金をめぐる疑惑だ。「秘書の責任は、政治家の責任」と繰り返してきた結果、にっちもさっちもいかない状況に自分を追い込んでしまったのだ。そもそも党首討論は、幹事長・小沢一郎の提唱で週に1回開くことになっている。首相は麻生太郎が落ち目の時は党首討論開催をしきりに言い立て、自民党政権の追い込みに活用した。しかし自分に不利な材料が山積して、説明責任が求められると、これを拒否する。これでは遠山金四郎ではないが「御政道が成り立たぬ」のだ。小沢がかねてから「鳩山に情報を入れすぎると、くよくよするから入れるな」と漏らしているが、鳩山のひ弱さを見抜いている。
珍しく朝日新聞と、産経新聞が一致して鳩山の党首討論回避を社説で叩いている。朝日は「情けない首相の逃げ腰」と題して「自らの政治資金疑惑や政府内の足並みの乱れを突かれたくないからではないか。討論を避ければ避けるほど、そういわれるのを覚悟しなければならない」と真っ向から批判。産経も「党首討論見送りは国会改革が泣く」と題して「政府・与党の消極的な姿勢は情けない。虚偽献金疑惑を抱える首相が、開催に逃げ腰だとの見方も出ている。不名誉な風聞をぬぐう気があるなら、首相は開催日程を最優先で決めるべきだろう」と手厳しい。首相の心理状態を読まれてしまっているのである。老いてますます政治を見る目に鋭さがある塩爺こと塩川正十郎が「鳩山君では政権が持たないのでは」と政権発足早々漏らしていた言葉が、消えては浮かぶ。
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