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2009-10-26 00:00
鳩山政権の東アジア共同体構想と中国、米国の反応
大河原 良雄
グローバル・フォーラム代表世話人
私が理事長を務める(財)世界平和研究所と北京の中国外交学会(楊文昌会長)の共催する第3回の日中友好シンポジウムが10月20日、21日に東京で開催され、前半の会合は非公開で催されたが、21日午後のシンポジウムは公開の会合であった。今回の会合は丁度1月前に鳩山内閣が誕生したばかりで新政権の対外、特に対中政策が如何なるものであるかに、中国側の強い関心が向けられた。中国側からみると、9月中旬に国連総会の機会に初めての鳩山、胡錦涛両首脳会議が開催され、それに続いて10月10日に北京において、日中韓3国首脳会議開催の機に2度目の日中首脳会議が催された直後である丈に、日中関係の今後の展開如何にとの期待感が持たれていた会合であったといえる。
中国側代表団の李肇星団長(元外交部長)が開会の挨拶に述べた様に、中国側は「現在の日中関係は極めて順調であるが、さればこそ折角の好機を捉えて日中共同の平和的発展をはかりたい」との期待を表明していた。会議全体を通じては、相互信頼の醸成をはかり、両国の協力関係を確立していくべきものとの共通の論調が目立っていた。
一つだけ目立って対立がみられたのは、東アジア共同体に関する捉え方であった。日本側が将来の東アジア共同体はASEAN+3+3(印度、豪州及びニュージーランド)の方向を目指して発展していくとの捉え方をしているのに対し、中国側は豪州及びニュージーランドは固より印度の如き域外の国を包含するのはおかしいとの議論を主張していたのが目立った。これに関連して、さきに楊外交部長が日中韓3国外相会議の際、岡田外相の呼びかけに対して、ASEAN+3は中国が当初から支持し、且つ明確にコミットして来たものだと述べて、この構想に対する主導権を主張していたのが想起される。
鳩山総理は先般の国連演説でも、その後の日中韓3国首脳会議でも、今後のアジア政策の柱の一つとして東アジア共同体構想を強調し、従来わが国は米国のいう通りに動いて来たが、今後はアジアを重視した政策をとると述べると共に、日本は米国とアジアの懸け橋となりたい旨を表明している。嘗てブッシュ政権当時、アーミテージ国務副長官は「東アジア共同体の主張は米国をアジアから排除しようとするものに他ならない」と反対の立場を表明した事があるが、今回の鳩山総理の一連の発言に対して米側から、アジアとの対話を進めるのに日本の仲介を要しないし、反米的な匂いがある、と先般のニューヨークタイムズに掲載された鳩山論文のトーンを引用しつつ、否定的な反応が示されていることは、十分に注意する必要がある。
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